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市場養生訓

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第868回

2021年07月06日

 今年第一四半期末の世界の外貨準備における通貨構成がIMFから発表された。今回ポイントになるのは3点。
1. 前回(20年末)ドルの割合が初めて6割を切った。ピークは2001年の73%で以降、長期的な低減傾向を示してきた。そのトレンドの勢いが続くのか。
2. 人民元の外貨準備は絶対額ばかりでなくその割合も毎期計ったように増加してきた。そうした傾向が今回も見えるのか。そうとすれば中国当局が外貨準備の規模を管理しているのは確実であり、漸進的な人民元の国際化促進政策の一環と捉えられる。
3. 今回の各通貨の割合の変化には第一四半期での為替レートの変動が一つの要因になっている。この期間ドル指数(主要6通貨に対するドルの強弱を表した数字)は上昇した。つまりドル以外の通貨の割合は小さくなる傾向を持つ。ただしカナダドルの為替レートはこの間対ドルで上昇した。オーストラリアドルは対ドルでほとんど変化がなかった。

以上を踏まえて次に列挙する通貨ごとの数字を読んでほしい。
1) ドルの割合(59.54%)は前期(58.94%)よりも若干戻した。とは言え60%以下は変わらず、戻しは為替レートの変動によるテクニカルな要因と思われる。つまり中長期のドル離れ傾向に変化はないと言える。
2) ユーロの割合(20.57%)は前期よりも低下し、昨年第三四半期の水準に戻った。ドルと裏腹の関係で為替レートの変動が変化の要因であろう。
3) 人民元の割合(2.45%)は前回よりも再び増加した。絶対額や割合は円の半分にも満たないが、着実に増加傾向にある。
4) 円の割合(5.89%)はユーロに次ぐが、ユーロ同様昨年第三四半期の水準に戻った。為替変動が減少の要因で円からシフトが行われたわけではない。
5) ポンドの割合(4.70%)は前回より微減に留まった。BREXIT移行期間後もポンドのポートフォリオへの影響は見られない。
6) オーストライアドル、カナダドルの割合はそれぞれ1.82%、2.11%だ。Aドルは前回と同じ割合、Cドルは前回より増加した。
7) その他通貨の割合(2.74%)は昨年から毎期着実に増加している。これはドルからのシフトの反映だろう。多通貨分散を図る中国のポートフォリオと推察される。
以上です。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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