FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

市場養生訓

最新の記事

第871回

2021年07月27日

 オリンピックの卓球で日本が中国を破って金メダルを取るとは思いもよらなかった。水谷・伊藤のペアは素晴らしかった。日本の実力が向上したのか、中国の力が落ちてきたのか、おそらく両方の要因があるのだろう。
 中国の経済も勢いを失ってきているようだ。コロナからいち早く回復した中国経済は輸出や工業生産などに支えられて伸びてきたが、最近の経済統計は伸びの鈍化を示す数字が増えてきた。それに国営企業のデフォルトやその救済に追われる地方政府などの状況は簡単に終息しそうにない。党、政府のIT企業などに対する取り締まりの強化も経済的な観点から見ればネガティブな要因だ。それは米国と中国の金融・資本市場の分断にもつながる。
 米国ではひと頃のインフレ懸念一辺倒から景気減速さらにスタグフレーション懸念まで市場の関心が広がる。長期金利の低下がそうした懸念を反映している。1.7%を超えていた米国債10年物のイールドは一時1.2%を割れるまで低下したが、現在は1.30%前後で推移している。
 その結果実質金利は1.1%程度のマイナスになっている。10年の実質金利がマイナスなのは米国に限らず、ユーロ圏や日本でも同様だ。
 長期金利の低下と言えば、2000年代の半ば頃米国が利上げを繰り返したが長期金利は上昇せず逆に低下した。当時のFEDの議長グリーンスパンはこの現象を謎と言ったが、市場では長期の通貨オプションのボラティリティも低下した。市場のリスク許容度が変質していった。これは各種のデリバティブの価格を実質以上に低下させた。その先に待っていたのはサブプライムローンの破綻や世界金融危機だった。
 為替レートとの関係では一般的には長期、短期金利ともに為替レートの変動要因だ。長期金利の変動は機関投資家などのポートフォリオの変更に影響し、短期金利は銀行ディーラーなどのポジションの持ち越しコストを通じて為替の需給に影響する。
 ところが今回の長期金利の低下は為替レートの変動に表向きほとんど影響していない。これは景気減速見込みによるドル売りと、質への逃避から米国債の需要の増加に伴うドル買いが均衡しているためなのか、はっきりしない。
 それとも為替レートの金利に対する反応が弱くなってしまったのか。最近はリスクオン、オフの時の安全通貨の円やスイスフランの反応も弱くなっている。なぜそうなったか。パンデミックや米中分断によるグローバライゼーションの後退が原因なのか。中国のIT企業の取り締まりに見られるような新たな政治的要因が為替の需給に与える影響度が大きくなったためか。為替の安定は謎だ。
 このコラムは今回が最後です。最初は出版社の編集者を通じての執筆依頼でした。当時出版した「外為市場血風録」か「人民元は世界を変える」(いずれも集英社新書)の宣伝にでもなればと言うことで、6か月くらい続けばいいかと始めました。それが16-7年の長きになりました。読者の皆様には深く感謝申し上げます。為替を楽しんでください。
 ONCE A DEALER,ALWAYS A DEALER.

このページの先頭へ

2021年07月27日
2021年07月20日
2021年07月13日
2021年07月06日
2021年06月29日

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引および証券取引に関するご注意

パートナーズFX、パートナーズFXnanoおよびCFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格とには差額(スプレッド)があります。

取引手数料は無料です。ただしパートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの受渡取引に限り、1通貨単位あたり0.10円の手数料をいただきます。

パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。

CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。 国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会