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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第534回 ドル/円は目先、レンジ内の動きに終始する!?

2016年05月09日

 先週14日、日本経済新聞は「安倍首相が消費税率10%への引き上げを再び延期する方針を固めた」と朝刊の1面トップで伝えた。もはや既定路線になっていたとは言え、7月の参院選に向けて“様々に”取り沙汰され得る材料の一つではある。市場はすでに織り込み済みと見ることもできなくはないが、意外な化学反応が見られる可能性もあり、必ずしも軽視はできないものと考えられる。

 もちろん、目先は外国為替相場に直接的な影響をもたらすとも考えにくい。しかし、株価の動向などを通じて間接的に影響することは十分に考えられる。これから伊勢志摩サミット閉幕までは政策発動期待もあり、そうこう言っている間に、すぐ6月の日銀追加緩和期待なども話題になってくることだろう。数々のビッグイベントが間近に迫り、投資家としても気の抜けない日々が続くこととなりそうだ。


 なお、あまり話題に上ってはこないが注目しておきたいのは、先週10日に発表された3月の米求人・労働移動調査(JOLTS)の結果である。求人件数は約580万件と大幅な伸びを示し、依然として米労働市場の堅調さは持続している。

  その一方で、採用件数の伸びは鈍っており、これを単純に「雇用のミスマッチ」の一言で片づけてしまうことはできない。おそらく、これは、給与や雇用条件に対する“雇われる側”の要求レベルが引き上げられていることによるものと考えられ、将来的に米国全体で「賃上げ」や「正規採用」の動きが強まるものと期待される重要な要素である。

  実際、4月の米雇用統計の結果においても、平均時給の伸びは前年同月比+2.5%と高水準で推移していることが確認された。数か月後には、今よりずっと米国内の消費マインドが向上し、それが小売売上高や消費者物価指数などの伸びにつながり、追加利上げの可能性を高めることとなろう。


 とまれ、足下ではドル/円が109円を挟んでの上げ下げに終始するなど、全体にこう着状態が続いている。先週13日に発表された4月の米小売売上高や5月の米ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)などは、かなり心強い内容であったと言えるものの、市場の反応は限られたものになった。

 一時109.50円あたりまで上昇したものの、むしろ109円台後半から110円までの上値抵抗が強く感じられる展開となったことで、市場にはある種の失望感が広がったようでもある。5月3日に一時105.55円まで下押してから、それ以降に生じたファンド勢などによるポジション調整の動きはなおも継続している模様だが、全体にそろそろ一巡となりそうなムードもある。

 とりあえず、まずは今週17日に発表される4月の米消費者物価指数、あるいは18日に発表される4月開催分のFOMC議事録などにドル買い材料が認められるかどうかを確認したい。また、18日に発表される日本の1-3月期GDP(1次速報)の結果も大いに気になる。大方の予想は前期比年率+0.3%程度ということらしいが、前四半期に続いてのマイナスとなる可能性も封印できない。仮にマイナスとなった場合、市場がどのような反応を示すのか。事前に想定することは非常に難しく、場合によっては政策期待を押し上げて、むしろリスクオンのムードが拡がる可能性さえある。とにかく、ここはつとめて慎重に向き合うことが肝要だ。

 さしあたり、ドル/円については108円台前半から109円台半ばでのレンジ内での動きが続くとの見方を基本とし、このレンジから上下に放れる動きが見られた場合には、短期的にもその流れにつくといった算段で臨みたいと考える。

(05/09 08:55)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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