ドル/円の週足ロウソクは、先週で2週続けて終値で一目均衡表の週足「雲」下限を下抜けることとなった。その結果、この週足「雲」下限が当面の上値抵抗の一つとして機能しやすい状況となっている。先週は、ドル/円が一時114.87円まで値を戻す場面もあったが、結局は週足「雲」下限近辺で上値を押さえられる格好となった。
今後も、こうしたイメージが引きずられやすいものと考えられ、同水準(=現在は115.24円)を上抜けるようなムードが醸成されるかどうかが、当面の焦点の一つになると言える。仮に、これを上抜ければムードはだいぶ変わるだろう。その場合は、1月29日高値=121.67円から2月11日安値=110.97円までの下げに対する半値戻し=116.33円を試す動きとなる可能性があるものと見られる。
前回も述べたように、2月12日に1万5000円割れで引けることとなった日経平均株価については、実に数多くの特殊要因が重なったことで目先下げ過ぎの状態に陥ったとの感が強い。実際、先週15日には大幅反発となったわけだが、週末にかけての伸びが鈍かったことも事実である。「追証」の発生や信用期日到来に伴う処分売りや投げ売りは一巡したわけだが、新たに買い向かう余力が乏しい。いまだ、多くの投資家が疑心暗鬼の連鎖から抜け出せていないこともあろう。
先週16日にはサウジアラビアやロシアなど産油4か国が増産凍結で合意し、そのことにイランの石油相が歓迎の意を表したが、この程度のことで原油価格が俄かに持ち直すとも思えない。いよいよ“背に腹は代えられない”状況に向かいつつある産油国だが、いまだ幾ばくかの余裕は残っている。米シェール企業などとのチキンレースは今しばらく続きそうだ。ただ、そう遠くない将来において“白旗が上がり”、良かれ悪しかれ原油価格が急反発する場面は訪れると見られる。聞けば、ゴールドマン・サックスは先週15日付けのレポートで「原油の底打ち値観測」を示したという。これは、一つ興味深いことである。
目先は、やはり今週26-27日に上海で開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議に注目が集まる。市場では「国際的な市場混乱の抑制」や「為替市場の安定化」で、各国が協調できるのではないかとの期待を強めている模様。それだけに、何ら具体的な解決の道筋が示されないようであれば、市場に与えるダメージは小さくないものとなろう。その行方は、まったく不透明であり、とりあえずは市場で再びリスク回避ムードが強まることに警戒しておくに越したことはないだろう。
先週末、ドル/円が112円台で引けたことも、あまりムードがよろしくない。昨年8月24日安値が位置する116.12円処をネックラインとするヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ(三尊天井)がすでに完成しているとの見地からすれば、その垂直計算によって弾き出される106.30円あたりの水準が、いずれは意識されることとなる可能性もある。それ以前に、直近安値の110.97円や心理的節目である110円などが試されることとなろうが、そうした展開になるとするならば、もう一段の下値余地も見込んでおかねばなるまい。
とにかく、今しばらくはドル/円の行方が非常に読みづらい。その点からすると、やはり比較的与しやすいのはユーロ/ドルということになるのではないか。先週行われたEU首脳会議で、英首相が求めていたEU改革案が合意に至ったことは、とりあえず短期的なユーロの強気材料となり得るだろう。しかし、3月10日にECB理事会を控えることを考えると、目先的なユーロの戻りは売りということになるものと見る。
(02/22 08:45)