先週4日、日経平均株価が終値で1万7000円台を回復し、NYダウ平均も終値で17000ドル台を回復、さらにWTI原油先物価格が36ドル近辺まで上昇し、ダブルボトム完成の可能性が濃厚となっている。総じて、全体にリスク選好ムードが回復してきており、市場の雰囲気はひところに比べて大分明るくなってきた。
筆者は、本欄の1月18日更新分(第518回)において「目下のような波乱の収束には少なくとも2か月ほどの月日を費やすのが通例であり、その意味では2月下旬あたりまで落ち着かない展開が続くものと見ておいた方がいいのかもしれない」と述べた。そして実際に、年初からの波乱は2月下旬まで続き、3月に入ってから急速に落ち着きを取り戻すこととなった。
これは、一つに「中国リスクに対する懸念の強まり(結果的に市場が過度なまでにリスク回避に傾いてチャイナ・ショックとなる)」は“寄せては返す”であるということだろう。思えば、昨年8月半ばらから10月半ばあたりまで、あれほど市場が大騒ぎしたチャイナ・リスクも11月、12月には一旦成りを潜めた。そして今年の年初から再び蒸し返されたことを考えると、この3月、4月あたりは一旦“引き潮”となるものの、5月、6月あたりには再び蒸し返される可能性があると考えることもできるだろう。
そうであるとすれば、足下の米・日株価の値動きなどは「あくまでリバウンドに過ぎない」ということになるが、もちろん「リバウンドと割り切って乗っかる」のも立派な戦術の一つということになる。
足下で見られるムードの改善に対して、比較的素直な反応を見せているのは豪ドルであり、先週4日には豪ドル/円が一時84.95円まで上昇して一目均衡表の日足「雲」上限を試すこととなった。目先は、この日足「雲」上限を上抜けるかどうかが焦点ということになり、上抜ければ1月29日高値=86.39円が意識されやすくなろう。同水準をも上抜ければ、当面の上値余地は一段と拡がるものと見られる。
その一方で、なおもドル/円の戻りは鈍く、上値に弾みがつきにくい。これは米株価が堅調に推移していることの裏返しとも言えよう。先週末発表された2月の米雇用統計において平均時給の伸びがやや低水準に留まったことからも、今しばらく早期利上げ観測は盛り上がりにくい。
先週4日のドル/円は、なんとか終値で21日線を上抜ける格好となったが、今のところは「これで一気に強気転換」というムードでもない。せめて115円の心理的節目を上抜け、さらに週足「雲」下限が位置する115円台半ばまでの戻りを見るかどうかを見定めたいところである。
なお、先週2日まで下落の一途を辿っていたユーロ/ドルは後に反発。2日までの下落があまりに急激であったことの反動が生じていることに加え、日足「雲」上限で一旦下値を支えられる格好になったことによるものと思われるが、当面の戻りは自ずと限られる可能性が高いと見られる。目先は、200日線が上値抵抗として機能するかどうかを見定めたい。今週10日のECB理事会では、昨年12月に行われた理事会の決定に対する市場の反応が大いに考慮されるものと考えられ、ECBとしても中途半端な対応は極力避けたいところであろう。もちろん、ECBの決定に対して市場で再び失望感が拡がる可能性もないではなく、一定の警戒は怠れないだろう。
(03/07 08:45)