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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第526回 全体のムードは一段と改善するもドル/円の上値は重め…

2016年03月14日

 市場全体の雰囲気は一段と明るくなってきたように感じられる。先週11日のNY時間にはWTI原油先物価格が一時1バレル=39ドル台に乗せ、一頃のような原油安に伴うリスクオフのムードもかなり後退してきている。今後、WTIについては「とりあえず、一旦は40ドル台を回復する」との期待が盛り上がってきそうだ。

 国際エネルギー機関(IEA)が発表した3月の石油市場月報によると、一部の石油輸出国機構(OPEC)加盟国と米国などの非OPEC加盟国による原油供給は2月に減少となった。今のところ、経済制裁解除後のイランによる供給量も想定されていたほどには増えておらず、市場の供給過剰懸念は和らぎやすくなっている。

 「原油価格は(2月に)底入れした兆しがある」との見解がIEAから示されたこともあり、当面は原油価格が底堅く推移することで金融市場全体のリスク選好ムードが一段と回復してくる可能性もあろう。当然、米・日をはじめ主要国の株価もしばらくは堅調に推移するものと見込まれる。ことに日本株は先週11日にメジャーSQを通過し、年初からしばらく続いた波乱含みの相場は一旦リセットされた状態にある。3月半ば以降は、本邦政府による政策発動期待が全体を押し上げる可能性も高いと見られる。


 ただ、足下では原油価格の回復や中国に対する政策期待の高まりなどで資源国通貨や新興国通貨の値上がりが顕著となっており、そのぶんドルの上値が押さえられやすくなっているということも事実である。豪ドルや加ドルは、1月半ばから先週末までにかけて対ドルで10%を超える値上がりとなっており、なかなかドルの出番は回ってこない。

 さらに、先週10日のECB理事会において想定以上に果敢な内容の追加緩和策が打ち出されたことで一旦大きく下押したユーロが後のドラギ総裁発言によって大きく反転・上昇したことから、対ユーロでもドルの上値は押さえられた状態にある。

 もっとも、このところの豪ドルや加ドルなどの対ドルでの上昇は、そろそろ一服してもおかしくないと思われるほど足下で過熱感が高まっている。たとえば、豪ドル/ドルの日足のRSI(14)は70%を超える水準での推移が続いており、他のオシレーター系指標で見ても目先の高値警戒感は強いと言える。今後、WTI原油先物価格がひとたび40ドル台に乗せてくれば、2月中旬以降の戻りも一服しやすいと思われ、同時に資源国通貨や新興国通貨の対ドルでの値動きも一旦は調整含みになる可能性があろう。

 豪ドル/円については、前回の本欄で「一目均衡表の日足『雲』上限を上抜ければ1月29日高値=86.39円が意識されやすくなろう」と述べたが、実際に足下で豪ドル/円は86.21円まで値を戻す展開となっている。86.39円は重要な節目の一つであり、中期的に見れば、同水準を上抜けて一段と上値余地を拡げる可能性もあると見られるが、目先的には上げ一服となってもおかしくないものと見られる。


 もちろん、資源国通貨や新興国通貨の対ドルでの値上がりが一服したところで、結果的にドル/円が一気に上値余地を拡げるというわけでもなかろう。本日(14日)から行われる日銀金融政策決定会合や明日(15日)から行われるFOMCでは、既往の政策が据え置かれる可能性が高いと見られ、円売り・ドル買い姿勢を強める積極的な材料は見いだされにくいだろう。

 とはいえ、米・日の株価が底堅い推移を続ける限りはドル/円も底堅く推移するものと見られ、今しばらくはもみ合いの展開を続ける可能性が高い。当面は、114円台前半から半ばあたりにかけての上値抵抗をブレイクできるかどうかに注目し続けたい。

(03/14 08:55)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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