シカゴ通貨先物市場における大口投機家の円買い越しが、4月19日時点で7万1870枚と過去最高水準にまで積み上がっていたことが明らかとなった。そこへ、いきなり飛び込んできたのがブルームバーグの一報。関係筋の話として「日銀内で金融機関への貸し出しに対するマイナス金利の適用を検討する案が浮上している」という。
あくまで憶測に過ぎない話であるし、仮にそのような案が実際に浮上しているとしても政策会合当日の協議によっては反故にされる可能性もある。ただ、熊本の震災に対する対応の一環でもあると考えるとそれなりに信ぴょう性もあり、一部の報道機関から放たれた一種の憶測ネタであったわりに市場の反応は強かった。
まして、そこには過去最大に積み上がった円ネットロングの存在があったわけ、そのかなりの部分が巻き戻されたことは想像に難くない。また、これまで多くがドル/円について「当面は110円が厚い壁」と見ていただけに、同水準を超えてなおも一段の上値を試す展開となった結果、多くのストップロスを巻き込むことにもなったのだろう。
相場が勝手に円安方向に振れてくれたわけであるから、黒田日銀総裁をはじめとする当事者らも、わざわざ報じられている内容を否定するようなことはしないだろう。そうであるならば、市場の期待は政策会合が終わるまで引き継がれる可能性は高い。もちろん、実際の結果をしっかり見定めなければならないし、仮に期待通りの決定が下されても、そこで目先の材料は出尽くしとなる可能性もあり、そうした点は一応警戒しておきたい。
ここで大いに注目度が高まるのは、何と言っても今週金曜日(29日)のNYクローズ時点でドル/円がどのあたりの水準に位置することとなるかである。つまり、4月の月足ロウソクが長い下ヒゲを伴う陽線となるかどうか、また月末終値時点で31カ月線を上回ることができるかどうか、などといった点が大いに注目されるわけである。
正直、月初めから108円割れに向かう展開となっていた当時は、個人的に「4月末時点で31カ月線を下抜けることとなってもやむを得まい」と考えていた。ところが、実際には4月の始値=112.56円に対して先週22日高値は111.81円と、もはや月足ロウソクが陽線に転じるまであと一息というところにまで迫ってきていることも事実である。
ハッキリ言って、この4月の月足が31カ月線を下抜けるか否かで当面の展望は大きく違ってくる。そもそも31カ月線と絡む場面などそう頻繁にあるはずもなく、それだけに互いの位置関係が意味するところは大きい。なお、31カ月線は現在112.77円あたりに位置しており、今月(今週)末までに同線を上抜けるためには、その前に日足の一目均衡表における「雲」下限水準を上抜けることが求められる。
ひとたび日足「雲」のなかに潜り込む動きとなれば、そこから暫くは動きの鈍い展開になる可能性があると見られ、その場合は2月半ばあたりから3月下旬までもみ合いを続けた113円前後の水準での動きが続くこととなろう。
とまれ、目下のような「リスクオン」のムードが強まっているときこそ、より慎重に相場と向き合うことが必要であることは言うまでもない。NYダウ平均が再び18000ドル台に乗せてきたことや、日経平均株価が再び1万8000円に迫る展開となってきたことを考えると、そろそろ米日の株価が全体に上げ一服となる可能性も封印はできない。
また、今週はFOMCや日銀政策会合に加えて、米1-3月期GDP(速報値)や3月のPCEコアデフレータなどの発表も控えている。ドルにとってややネガティブな結果となる可能性も否定はできず、週末にはドルが反落する可能性もあるものと心得ておきたい。
(04/25 09:30)