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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第535回 ドル高の修正の修正にも自ずと限りがある!?

2016年05月23日

 足下の外国為替市場では、ことに1月下旬の日銀会合以降に強まった“ドル高の修正の修正”という動きが続いている。振り返れば、今年1月下旬の日銀によるマイナス金利導入から始まって2月下旬の上海G20、3月下旬のイエレンFRB議長講演など、市場には次々と円高・ドル安材料が噴出し、4月下旬の日銀会合における「現状維持」の決定は言わばダメ押しとなった。

  その間、確かに「円高」も進んだが、同時に「ドル安」も進んだということは再認識しておかねばなるまい。結果として進んだドル安の修正は、世界経済全体を安定化させることに貢献し、同時に米国経済の状況をも改善させた。つまり、その間に少しずつ米追加利上げを阻む要因が払しょくされ、次のドル買いに結びつきやすい材料が蓄積されることとなったわけである。ドル指数は5月2日に直近の安値=91.88をつけて反転し、目下は95を超える水準にまで回復。もともと、一つの節目である93のレベルを下回れば、一旦は底入れ&反発すると見られていたことも事実だ。


 そして先週18日に飛び出したのが、4月開催分のFOMCの議事要旨の内容。そのなかに「大半のメンバーが、経済状況が保証されれば6月の利上げは適切になる」との見解が示されていたことを市場は注視。なかでも、とくに‘Most’というワードと‘June’というワードに市場は少々過度なまでに反応し、俄かに6月米利上げ観測が盛り上がることとなったわけだ。‘Most’は参加者(=participants)の同意度を示す時に用いる最も強い表現であるし、わざわざ‘June’という特定の時期を示したことも何やら意味ありげではある。しかし、正直ここは「まあ、少し落ち着いて…」と言いたい。

 米国の「経済状況が保証されれば(=所与の条件が満たされれば)」利上げが適切になるのは当たり前のことであり、これは既往のFRBの姿勢と何ら変わりはない。FRBとしては「6月の可能性を完全に封じてしまいたくはない」、「(6月利上げの)扉の鍵だけは空けておきたい」、つまりは市場にヘタな手掛かり材料を与えたくないという思いなのであろう。

 確かに、既報となった4月、5月の米経済指標の多くは米国経済の緩やかな改善を示すものが多いが、実際に追加利上げに踏み切った場合の悪影響をも考慮すると、それを容易にクリアできるほどではまだない・ここもとの米国経済の改善は多分にドル高の修正のお陰でもあり、ここで再びドルが急騰でもしようものなら、結局は元も子もなくなってしまう可能性がある。米国経済が本来の強みを取り戻す方向に向かっていることは事実であるが、本格的に成長度合いが加速し始めるまでは、まだ数か月の時間を要すると思われる。


 奇しくも、足下ではドル/円、ユーロ/ドルともに一つの節目に到達しており、当面はドルの上値が押さえられやすいと見られることも事実だ。

 周知のとおり、ドル/円は一目均衡表の日足「雲」下限が位置する水準まで戻し、そこで上値が重くなっている。日足「雲」の中に潜り込む展開になったとしても、次に4月28日高値から5月3日安値までの下げに対する76.4%戻し=110.39円の節目が控える。同水準を上抜ければ、日足「雲」上限を試すこととなろうが、そのあたりには4月28日高値や89日線など複数の節目が待ち構える。もちろん、日足「雲」上限を明確に上抜ける展開となってくれば、それはそれで興味深い。

 一方のユーロ/ドルは目先、なおも上向きで推移する89日線のサポートが機能し続けるかどうかを見定めたい。今のところ、やはり“ドル高の修正の修正”の持続力にも自ずと限りがあるように思われてならない。

(05/23 09:35)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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