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第542回 ドルの下値は着実に固められて行く!?

2016年07月11日

 毎度“お騒がせ”の米雇用統計である。先週8日に発表された6月の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+28.7万人と事前予想を大幅に上回ったが、その一方で前月(5月)分は+1.1万人に下方修正。要は、各月の数字にあまりとらわれ過ぎてはならず、3~4カ月程度の平均値の推移で判断せよということだが、そうは言っても市場が個々の数値に一喜一憂してしまうのは仕方のない事でもある。

 今回のNFPの結果により、市場では年内利上げの可能性が再浮上したと見る向きもあるようだが、もともと市場の米利上げ観測などというものは、そのときどきでクルクルと目まぐるしく変わるものである。同様に米連邦公開市場委員会(FOMC)に参加するメンバーらの金利予想というのも、そのときどきで大きく変わる。思えば、5月下旬あたりの市場では少々過剰と思えるほど米早期利上げ観測が大きな盛り上がりを見せていた。言うなれば多分に日和見的なものなのであり、そう理解しておくことも必要だ。

 重要なのは、その数値の背後にある米雇用情勢の構造的な変化に思いを馳せることである。既知のとおり、すでに米失業率は5%を下回っている。そして、毎月の米求人・労働移動調査(JOLTS)は米企業の「求人」件数が引き続き非常に高い伸びとなっている。一方で、月によっては「採用」件数の伸びが大きく低下することなどもあり、そこには“雇われる側”の雇用条件に対する要求水準が一段と高まっているという事実が横たわっているものと考えられる。つまり、“雇われる側”の賃上げや正規雇用、各種労働条件などに対する要求が強まっている状況にありながら、いまだ“雇いたい側”の対応が追いついていないというのが実情であると思われるのだ。

 実のところ今、足下では2014年、2015年に大量に雇用された就業者が次々に賃金改定の時期を迎えているという事情もある。米企業にしてみれば、もはや本格的な賃上げに踏み切ることは避けて通れないわけである。実際、6月の平均時給も25.61ドルと前年同月比で+2.6の高い伸びを示した。

 興味深いのは、就職して1年以上の雇用者を対象とし、シニア層の引退など年代構成別の変化にも細かく対応して弾き出される「賃金トラッカー(Wage Growth Tracker/アトランタ連銀)」によると、5月の賃金上昇率は前年同月比+3.5%であったということだ。ある意味で、この数値は米雇用統計における平均時給の伸びの先行指標とも言える。


 総じて、米国の賃上げ期待は高まり続けており、その点を考慮すると足下の市場のムードはやや悲観に傾きすぎており、実情に追いついていないように思われる。当然、本質的なドルの強みも過小評価されているものと思われ、いずれはその歪みが修正されるときも訪れることだろう。

 少々気になるのは、長らく燻っていた南欧の債務問題がブレグジットに伴う動揺によって再び炙り出されてきていることで、このところ顕著になっているグローバルな銀行株安の動きも確かに不気味ではある。ただ、少なくとも米国の銀行が置かれた状況はリーマン・ショック当時とは一変しているし、邦銀の経営基盤が強固であることは今更言うまでもない。つまり、「グローバルにシステミックリスクが拡大する可能性もある」とする一部の見方は少々穿ちすぎと言える。もちろん、当面はFRBも慎重姿勢を維持し、利上げに対する姿勢も少々及び腰であるように見えるかもしれない。とはいえ、やはり「金融政策が景気の後追いとなるのは宿命」であるということも忘れてはならないだろう。

 6月の米雇用統計の強い結果を確認した後も、ドル/円は一時100円を下回る場面があった。今しばらくは上値が重く、今後も幾度か100円割れの水準を試す場面はあり得よう。しかし、下値は着実に固められて行くものと考える。

(07/11 08:55)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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