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第556回 とにかく米大統領選の結果を見定めたい!

2016年11月07日

 振り返れば、10月28日に米連邦捜査局(FBI)がクリントン米大統領候補の“メール問題”を再捜査すると:伝えられてから、相場の顔つきは一変した。所謂“トランプリスク”の高まりが市場を覆い尽くし、大事な米経済指標の結果や利上げの行方などは、とりあえず二の次にされてしまうといった状態が続いていたのだ。
 先週4日に発表された10月の米雇用統計は、平均時給が前年同月比で2.8%もの伸びとなったうえ、前月(9月)の非農業部門雇用者数(NFP)が19.1万人に上方修正されるなど、平時であれば強めのドル買い材料とされる内容であったが、やはりトランプリスクの前ではそのインパクトが掻き消されてしまうこととなった。

 ところが、週明け7日の朝方(日本時間)、FBIのコミー長官が件のメール問題について「訴追を求めないとした当初の判断を維持することを議会に伝えた」と報じられ、またまた事態は急展開。オセアニア時間からドルを買い戻す動きが一気に強まり、ドル/円は一旦104円台を回復、ユーロ/ドルは一旦1.1100ドルを下回る動きとなった。
 コミー氏が元共和党員であり、元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏との関係性の深さからも反クリントン派であることは明らか。あまりにもあからさまなコミー氏の政治的行動に対する批判が高まったことで、止むを得ず早期の幕引きを謀ったということなのであろう。それにしても、嘆かわしいほど稚拙で人騒がせな行動であった。
 ともかく、これで“トランプリスク”に対する警戒が多少なりとも緩むこととなるのは間違いなく、先週末までのような“リスクオフ一辺倒”のムードにも一定の変化が見られることとなろう。実際、週明けの東京市場では日本株を買い戻す動きが強まっており、おそらく7日のNY時間にも米株や米債がある程度買い戻され、米10年債利回りは再び1.8%台を回復する動きとなろう。
 もちろん、目先は「とにかく米大統領選の結果次第」といった状況に変わりはなく、甚だ投資家泣かせ、コメンテーター泣かせの状況といえるが、泣いても笑ってもあと2日である。大統領選を通過すれば、あらためて今回の米雇用統計の結果や米利上げ見通しなどが材料として蒸し返される可能性が高いということも念頭には置いておきたい。

 先週3日、ドル/円は一時102.55円まで下押す場面があり、強気派にとっては残念なことに一目均衡表の日足「雲」上限を下抜ける展開となってしまった。グローバル投資家の多くがドル買いポジションを外しておいた、あるいはドルにヘッジ売りを仕掛けた末の水準ということであれば、それなりに底堅いと捉えるのが適当であろう。
 後に、ほどなく「89日線の水準」や「9/27安値から10/28高値までの上昇に対する50%押しの水準」が位置する102.70-80円処まで値を戻したところを見れば、とりあえずは同水準が一つの下値サポートと考えていいものと思われる。
 もちろん、トランプリスクのお陰で大きな戻りを見ることとなったユーロ/ドルへの注目も忘れられない。先週4日には一時1.1127ドルまで上値を伸ばす場面があったが、そこはとりあえず89日線に上値を押さえられる格好となった。
 よって、まずは89日線が上値抵抗となるかに注目しつつ、仮に同線を上抜けた場合には次に週足「雲」下限(現在は1.1202ドルに位置)や日足「雲」下限(現在は1.1215ドルに位置)がレジストとして機能するかどうかを見定めたい。あくまでドル売り主導の展開であることは間違いないものと見られるなか、上方に複数の重要な節目が居並ぶ状況にあっては、さすがに「そろそろ戻り一服となってもおかしくはない」というのが率直な感想ではある。
(11/07 09:30)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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