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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第560回 ドル/円は一旦上げ一服で暫しもみ合いか…

2016年12月05日

 先週は、11月30日に行われた石油輸出国機構(OPEC)の総会で8年ぶりの減産合意に至るというポジティブ・サプライズを受け、ドル/円が一時114円台後半の水準まで上値を伸ばす場面があった。
 11月29日に発表された米7―9月期実質GDP(改定値)が前期比年率+3.2%と速報値から上方修正され、翌30日に発表された10月のPCEコア・デフレータが前年同月比+1.7%と前月に引き続いて高水準での推移となるなど、米国経済の成長加速に対する期待も強まっており、今後も中期的なドル高傾向は継続するものと見られる。
 先週末2日に発表された11月の米雇用統計はまちまちの内容という印象ではあったものの、失業率が4.6%にまで低下したことは素直に評価していいだろう。平均時給の伸びは前月よりもやや鈍化したが、これは前月の反動と考えることができるものと思われる。

 とまれ、ドル/円が一時114円台後半の水準に達したことで、11月の月足ロウソクが終値ベースで31カ月移動平均線(31カ月線)を上抜けたことも見逃せない。振り返れば、今年4月の月足ロウソクが31カ月線を明確に下抜けて以降、ドル/円は62カ月移動平均線(62カ月線)に向けて下降し、その後、数カ月に渡って62カ月線にサポートされながら“大底圏”を形成する動きを続けることとなった。
 つまり、これまで本欄でも指摘してきたとおり、31カ月線は重要な節目の一つと考えることができ、このたび同線を上抜ける動きが見られたことの意味するところは決して小さくないものと考えられる。なお、本欄では以前からドル/円の月足「雲」上限が位置するところにも注目してきた。8月29日更新分でも述べているように、この月足「雲」上限が「9月、10月以降に水準を切り上げはじめることによって、徐々にドル/円は底入れからやや強気へとムードが切り替わりやすくなる」と考えてきたわけである。
 
 いまや、ドル/円については115円の節目や115.60円に位置する「昨年6月高値から今年6月安値までの下げに対する61.8%戻し」の水準などが意識されやすい状況になってきたと言える。ただ、11月初旬以降の上昇がかなり急激であったことや、欧州の情勢が先行き不透明感を増していることなどによって、当面は少々調整含みとなる可能性も否定はできない。
 12月4日に行われたイタリアの国民投票は、執筆時点において既にレンッイ首相が敗北宣言を行っており、憲法改正「否決」の結果となったこと自体は目先の材料出尽くしであり、一つの不透明感が払しょくされたということにもなろう。ただ、今のところ次期政権の行方はまったく見通せず、何より多額の不良債権問題に苦しむモンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナの増資問題が滞ることなどに対する懸念もあり、最終的に公的資金の注入となれば金融不安が再燃する可能性も高まりかねない。
 ドル/円は、本日の(5日)オセアニア時間に一旦大きく下押す展開となり、一時は113円割れの水準を試したが、レンッイ伊首相の敗北宣言を受けて値を戻し、とりあえずは先週末に推移していた水準(113.50-80円あたり)に値を戻している。一段の上値を試すにしても114円処では一旦上値が押さえられやすくなる可能性もありそうだ。
 一方、ユーロ/ドルは一時1.0504ドルまで急激に下げたところで一旦下げ止まる展開となっているわけだが、ある程度の戻りを見たところで、安易に上値を追うというわけにも行かないだろう。むしろ、1.0600ドルや1.0650ドルなどの節目あたりで戻り一服となったと場合には、あらためてユーロの戻り売りを検討したいと個人的には考える。
(12/05 09:25)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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