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第579回 ドル/円は113円前後に重要な節目が集中

2017年05月08日

 先週3日に発表されたFOMC声明で、米1―3月期の成長減速について「一過性のものである可能性が高い」との言及がなされたことにより、目下の市場では米6月利上げの見方が一段と強まっている。結果、FOMC声明発表前まで112円台前半の水準にあったドル/円は、4日の欧州時間入り後にかけて一時113円台に乗せる場面もあったが、翌5日のアジア時間に時間外でNY原油先物価格が一時43ドル台まで急落したことにより、再びドル/円は112.10円処まで一旦押し戻される場面も見られた。
 5日のNY時間に発表された4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+20万人超の伸び、失業率が4.4%まで低下と強めの部分もあったが、一方で前月分のNFPが下方修正されたり、平均時給の伸びが前年同月比+2.5%に鈍化したりしたことによって、発表直後は米債利回りが低下、同時にドルが一旦売られる場面もあった。
 最終的にドル/円は、5日のNYクローズで112.70-80円処まで値を戻すこととなったが、これはNY原油先物価格がプラスサイドに反転して米株価も反発となったことが大きいと見られる。結局、5日は「原油(先物)価格の動向が、思いのほか相場全体を大きく揺さぶる要因になる」ということが、あらためて強く印象に残る1日となった。

 先週、ドル/円が一旦113円台まで上値を伸ばしながらもそこで上げ渋ることとなったのは、一つに4月24日以降の上昇ピッチがかなり急であったことにもよる。また、前回の本欄でも注目したように、89日線や一目均衡表の日足「雲」などの節目に一旦到達したことも一因と言えよう。昨年7月下旬や今年3月半ばにも見られたように、日足「雲」の存在が当座の上値抵抗(リバウンドの終点)として意識された場面は過去に幾度もある。
 加えて、3月10日高値から4月17日安値までの下げに対する61.8%戻しの水準が112.70円処に位置しているということや、直近(先週4日)高値=113.05円が1月3日高値と3月10日高値を結ぶレジスタンスラインに頭を押さえられる格好となったことなども一応は念頭に置いておきたい。
 このように、ドル/円の113円前後の水準には複数の節目が集中している。それだけに其々の節目を一気にブレイクする展開となった場合には、そこから一段の上値余地が拡がるものと考えられる。当座の目安となり得るのは、一つに昨年12月位高値から今年4月安値までの下げに対する50%戻し=113.40円あたり、あるいは今年3月高値から4月安値までの下げに対する76.4%戻し=113.77円あたりということになろうか。
 大型連休中にCME日経平均先物が大幅高となったことから、連休明けの東京市場でも日経平均株価が大幅高からのスタートとなっており、足下の株高の流れに連れてドル/円が一段の上値を試す可能性もあろう。

 一方で、先週はユーロ/ドルも大きく上値を伸ばす展開となり、週末5日のNY時間終盤には一時1.1000ドル台に乗せる場面もあった。仏大統領選の決選投票でマクロン氏が勝利するとの見方が支配的になったことに加え、「ECBが6月の定例理事会でフォワードガイダンスを変更する」との見方が強まったことなどが、先週末にかけてのユーロ高を演出した格好である。
 とはいえ、マクロン氏圧勝の報を受けて本日(8日)のオセアニア時間に一時1.1014ドルまで急伸したユーロ買いの動きは直ちに失速。執筆時までに1.0970ドルを下回る水準まで大きく調整する動きとなっており、とりあえず一旦は「材料出尽くし」となった模様である。同時に円が買い直される動きにもなっており、目先はどこまで調整が進むのか慎重に見定める必要があろう。
(05/08 09:05)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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