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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第589回 強まるドル売り~米GDPでムードは変わるか?

2017年07月24日

 この2週間でドル相場の表情は一変。円とユーロに対してドルは大きく売り込まれることとなった。最大のきっかけは、やはりイエレンFRB議長の議会証言であったと言える。
 振り返れば、7月12日に行われた米下院金融委員会・半期金融政策報告の場に臨んだイエレン議長は、バランスシート縮小の年内開始や今後の緩やかな利上げの可能性ついて言及しながらも、足下のインフレや財政政策の不確実性についても触れ、全体としてハト派的な印象を市場に与えることとなった。
 もちろん、イエレン氏としては市場に無用な予断を持たれないよう十分にバランスをとった発言をしたつもりだったのであろう。しかし、市場は「少しでもハト派的なワードが飛び出せば…」と待ち構えていたようなところがあるように感じられた。
 よりストレートに言えば、ドル/円を7月11日高値=114.49円まで一旦押し上げた投機筋が利益確定の口実を手に入れる機会を待っていたということであろう。都合がいいことに、翌々日14日に発表された米6月の小売売上高や消費者物価指数(CPI)などが弱めの結果となったこともあり、投機筋らによる「一旦、利益確定&新規ショート」という戦略は見事に成功を収めることとなったわけだ。

 結果、一転して大きく値を切り下げ始めたドル/円だが、さすがに200日線が位置する112円割れの水準では一旦下げ渋り、反発の機会をうかがうものと見る向きも少なくなかったように思われる。しかし、先週21日のドル/円は一時111円割れ寸前の水準まで売り込まれ、結局は終値で一目均衡表の日足「雲」上限を下回ることとなった。
 周知のとおり、同日のNY時間に米ホワイトハウスがスパイサー米大統領報道官の辞任を発表し、そのことがドルの上値を一段と重くしている。そうでなくとも、オバマケア見直しを巡る米上院での代替法案(早期採決)が再びとん挫することとなり、税制改革やインフラ整備などの法案成立についても目下はまったく見通しが立たない状態にある。
 このような状況下で、投機筋があらためて積極的なドル買いに売って出るというのも難しい。チャート上の節目という意味では、目先的に6月14日安値から7月11日高値までの上昇に対する61.8%押し=110.98円処で一旦下げ渋る展開となってもおかしくないと思われるのだが、仮に同水準をも下抜けた場合には、次に日足「雲」下限(現在は110.77円)が一つの下値の目安になると見ておかざるを得ない。

 今週は25-26日にFOMCが予定されているが、今回はFRB議長の記者会見もなく、これといって特別な材料は出てこないものと思われる。むしろ、今週は28日に発表される米4-6月期GDP(速報値)の方が注目度は高いだろう。市場では前期比年率+2.5%を予想しており、予想どおりか予想よりも強めの結果となれば、少しは足下のムードも変わってくるものと見られる。
 一方で、やけに強気の展開となっているユーロ/ドルの動向も大いに注目されるところではある。周知のとおり、先週20日にECB理事会が行われ、ドラギ総裁は「QEは持続的なインフレ上昇が見られるまで継続」、「貴重インフレ圧力は引き続き抑制されている」などと、だれが見てもハト派的な発言を連発した。
 それにも拘らず、市場は少しでもタカ派的な発言があればそこだけに耳を傾け、とにもかくにもユーロを買い上げて一定の利益を手にしたいという強欲な反応を見せた。ドラギ総裁の発言からは、足下の欧州債利回り上昇やユーロ高を嫌気している様子がとうかがえる。筆者は、足下の市場の反応は期待先行で先回りし過ぎであり、ハッキリ言って異常であると個人的には考える。どこかで「一旦、軌道修正」という場面が訪れやしないか、慎重に見定めて行きたい。
(07/24 08:50)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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