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第631回 なおも米中&米欧通商問題を強く警戒する展開が続く…

2018年06月25日

 先週22日に公表された米通貨先物取引所における大口投機家の建玉明細報告(19日時点)によると、シカゴ・円は前週(12日時点)の「0.5万枚の買い越し」から「3.6万枚の売り越し」へと驚くほど大きく売りに転じた。
 その一方で、シカゴ・ユーロの買い越しが12日の「8.8万枚」から19日の「3.6万枚」にまで大きく減少していたことと照らし合わせてみると、とどのつまりは「円やユーロに対してドルが大きく強気に傾いた」ということになろう。もちろん、この間(12-19日)に行われたFOMCとECB理事会の結果が強く反映されていることは言うまでもないわけだが、19日以降は米中通商問題への警戒があらためて強まる状況となっており、目先は手放しでドルを買い上がることが少々躊躇われる状態となっていることも事実ではある。

 実際、先週のドル/円は110.70円処からスタートしたものの一旦は109円台半ばまで大きく値を沈め、後に再度切り返してからは一時110.76円まで買い戻される場面もあった。また、週末22日には再び110円を割り込む展開となっており、やはり米中通商問題の行方が気になるのか、容易に方向感を見出せない状態となっている。
 一方で、ユーロ/ドルも1.1600ドルを挟んでのもみ合いといった展開を続けており、足下では1.1500ドルの節目を一気に下抜くきっかけを掴むこともできないでいる。周知のとおり、米国による中国への関税発動期限とされているのは7月6日で、それまでには米中間で“適当な落とし処”を見出す可能性が高いと見られる。
 米国では、もともと景気拡大が続いているにも拘らず、足下では「大型減税」という財政出動を伴う景気刺激策が進行している。そんな状況下にあるにも拘らす、見え見えの選挙対策で無用に通商問題をこじらせ、わざわざ自国の景気の先行きに不安をもたらすなどというのは“呆れて物が言えないほどの愚行”でしかない。
 もちろん、米大統領としては“いかに中国に対して強い態度で向き合い、それによって一定の果実を得たか”をアピールしたい一心なのであろうし、その一方で高成長を実現しなければならないことも事実である。よって、中国からある程度の譲歩が引き出せさえすれば、すみやかに手打ちにしたいというのがホンネなのであろう。水面下における双方の協議がいつまとまるかは不明だが、いずれは市場の警戒が一気に緩む場面も訪れるものと思われる。よって、なおも当面はドルに押し目買いを入れるチャンスをうかがいたい。

 日足チャート上ではドル/円の200日線が横向きで、目下は同線を挟んで細かくもみ合う膠着状態となっている。一方で21日線が下値を支える格好にもなっており、当面は底堅く推移しながら米中通商問題が解消に向かうのを待つという展開か。
 目先的には、中国人民銀行が預金準備率の引き下げを決定したことが、香港ならびに中国本土市場の株価にプラス要因として働き、多少なりとも市場全体にリスクオンのムードをもたらすかどうかに注目したい。
 また、少し長い目では「2015年6月から形成されていると見られる『トライアングル』の上辺(2015年6月高値と昨年11月高値を結ぶレジスタンスライン)ブレイクに挑戦する流れ」との見方になおも変わりはない。今まさに“そのとき”はジワジワ近づいてきていると個人的には考える。
 一方で、ユーロ/ドルについては、先週22日に一時21日線までの戻りを見たことで目先的に戻り一服となりやすい状況にあると見られる。足下では、米欧間の貿易摩擦問題が深刻化しつつあることも十分に考慮したうえで、あらためてユーロが売りに押されやしないか慎重に見定めて行くことが求められよう。仮に、今後1.1500ドルの節目を下抜けた場合は次に1.1200-1.1300ドル処が試される可能性もあるものと思われる。
(06月25日 09:20)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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