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第660回 足下の米・日株価やドル/円の調整は必然!?

2019年03月11日

 先週は米国株市場でNYダウ平均が5日続落となり、その影響もあって日本株も少々大きく値を下げる展開となった。NYダウ平均は2月下旬に昨年12月初旬の高値を上回る水準まで値を戻していたことから、もともと利益確定の売りが出やすい状況にあったことも確かではある。先週は週初(4日)から節目の26000ドルを割り込む動きが見られたことから、目先筋を中心に資金を一旦回収する動きが出たと見られる。
一方、日経平均株価は先週4日に「昨年10月高値から12月安値までの下げに対する半値戻し」の水準に到達したことから、もともと「目先の達成感から戻り一巡」といった展開になる可能性が高いと見られていた。まして、先週はメジャーSQに絡んだ仕掛け的な動きや思惑的な売買が出てきやすい状況にあった。2月第2週~第4週にかけて海外投資家が225先物を大きく買い越し続けていたことから、メジャーSQに向けてその反動が一部に生じるのは当然のことであったとも言える。
とどのつまり、先週の米・日株価は必然的に調整したのであり、一部で聞かれる「世界景気の行き場に対する不透明感が再び強まってきた」などといった見立ては、後付けという印象の方が強い。むしろ、先々週まで「上げ相場に弱気材料なし」の状態にあったことの方が少々異様だった。

先週は、米・日の株価が調整含みで推移したこともあり、ドル/円も週末にかけてやや失速気味の展開となった。週末8日には、2月末にブレイクした200日線や89日線を下抜ける動きも見られ、ある意味でリスク回避の円買いと解釈できなくはないが、ドル自体は堅調さを維持しており、今のところ1月初旬から形成されている上昇チャネル内での推移が維持されている。細かいことではあるが、先週5日にドル/円が一時112円台を回復したところで、一目均衡表の日足の「遅行線」が日足の「雲」に上値を押さえられる状態となったことは一応確認しておきたい。
当面のドル/円の下値は、21日線や前記の上昇チャネル下辺あたりがサポートする可能性もあり、ここから積極的に売り仕掛けることはやはり躊躇われる。ちなみに、ドル/円の月足チャート上では31カ月線が110.83円処、月足「雲」上限が110.61円処にあり、これらが下値サポートとして意識される可能性もあると見られる。

言うまでもなく、足下のドル堅調はユーロ安やポンド安の流れの裏返しでもある。
既知のとおり、先週7日に行われたECB理事会では「少なくとも2019年末まで金利を現行水準に維持」との発表があったうえ、さらに新たな長期資金貸し出しオペ(TLTRO)を9月に開始するとのアナウンスまであった。
市場では、開始時期や具体的な内容については4月の理事会で発表されるものと見ている向きが多かったようで、今回の前倒しでの発表はユーロにとってのネガティブ・サプライズとなった。結果、ユーロ/ドルは一時1.1200ドルを割り込む場面が見られ、2017年6月以来の低水準まで下押したことは、かなり印象的であったと言える。
本欄でも以前から指摘しているように、ユーロ/ドルの月足は昨年10月以降長らく31カ月線に上値を押さえられながら月足「雲」下限の水準をなぞるように推移している。現在、月足「雲」下限は1.1054ドルに位置しており、なおも下値余地は残されていると見ていいだろう。
一方で、ポンドは一時1.3000ドルの節目を下抜ける場面が見られており、2月下旬までの戻りはあくまで一時的なものであり、少々楽観に傾き過ぎた状況であったことが再確認される。今週12日に英下院でメイ英首相の合意案の採決が予定されているが、これは否決される公算大であり、なおも警戒は解けない。
(03月11日 08:55)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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