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第663回 今しばらく「ドル1強」の状態は続きそう…

2019年04月01日

 先週は、週初に例の“逆イールド騒動”が巻き起こり、米・日をはじめ世界の金融相場を大きく揺す振った。後に市場関係者らから様々な解説・講釈がなされていたが、なかで最も説得力があると思われたのは「米クレジット市場に極端な動揺が生じているかどうかを見定めることが重要」というものである。
 そして、今のところ米クレジット市場には取り立てて動揺などは見られていない。たとえば、NY市場に上場する「iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF」の市場価格は、なおも足下で強気の展開を続けている。このETFは「Markit iBoxx米ドル建てリキッド ハイイールド指数」をベンチマークとしており、仮に米クレジット市場の先行きに暗雲が漂う事態となれば、直ちに市場価格が急落する可能性が高い。

 また、お馴染みのVIX指数(恐怖指数)も相変わらず低水準での推移が続いており、それが米株高の原動力にもなっている。周知のとおり、システム(アルゴリズム)系のプレイヤーであるリスクパリティファンドは、VIX指数が低下すると自動的に株式の組み入れを増やす。ちなみに、先週29日のVIX指数は13.71まで低下し、結果的にNYダウ平均をはじめとする米国株の主要3指数はいずれも大きく値を上げたうえ、揃ってほぼ一日の高値圏で取引を終えることとなった。
 先週29日のNYダウ平均は一時25949ドルまで上昇する場面があり、再び26000ドルの大台に迫ることとなった。まさに“ゴールディロックス(適温相場)”の状態にあると言え、全体にリスクオンのムードを漂わせることに貢献している。
 そのことがドル/円の下値を支える一因になっていると考えられ、先週29日のドル/円は一時110.95円まで値を上げる場面があった。ただ、さすがに111円手前の壁が依然として強固であると見られることも事実であるうえ、目先は89日線も上値抵抗として意識されているように見られる。29日の終値は110.80円処と、ほぼ89日線と同位置でのNY終わりとなった。むろん、同線をクリアに上抜けるかどうかが当座の一つの焦点になると考えられ、同線を上抜けた場合には次に21日線、200日線との攻防になると見られる。

 おさらいになるが、相場の変動要因としてはファンダメンタルズが「方向」でテクニカルが「水準」である。その意味からして、足下で米中貿易協議進展への期待が強まっていることはドル/円にとって上の「方向」であり、上方に控える複数の移動平均線は当座の抵抗として指揮される「水準」と言える。
 なおドル/円の下値に関しては、やはり一目均衡表の日足「雲」上限、ならびに週足「雲」下限の存在が大きい。さらに、以前から本欄で幾度も触れている月足「雲」上限の水準というのも決して軽視できない存在である。結局、3月は同水準を月足・終値で上回ることとなり、これは2カ月連続であることから基本強気の見方は変わらないと思われる。

 もちろん、ドルに対してユーロやポンドが基本弱気で推移し続けていることも見逃せない。ユーロについては、3月22日に発表された独・仏・ユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)が下振れしたことが尾を引いているうえ、このところのECBのハト派姿勢も下押し圧力として利いている。3月のユーロ/ドルは一時的にも1.1200ドルを下回る場面があり、相変わらず月足「雲」下限を意識した展開を続けている。4月には月足「雲」下限が1.1000ドルを下回る水準となることも一応は念頭に置いておく必要があるだろう。
 英国のEU離脱の行方については、市場で「合意なき離脱の可能性が高まった」との声も聞かれており、もはや余談の許されない状況となってきている。それを相場はある程度織り込んでいるのかもしれないが、なおも下値模索の展開は基本的には続き、結果的にドル1強の状態を盛り上げる展開が今しばらく続くだろう。
(04月01日 08:55)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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