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第676回 バブルへ向かう米国のドルは基本底堅い

2019年07月22日

 結局、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では「0.25%の政策金利引き下げを“予防的”に実施することを決定すると同時に、一応は今後の追加利下げ実施の可能性をも匂わせて終わる」という形に落ち着きそうである。
 先週18日にNY連銀のウィリアムズ総裁が「経済の異変の兆候が見えたら、直ちに利下げした方が良い」などと述べたことで、一旦は市場において「引き下げ幅は0.5%」との見方が強まった。なにしろ、FOMCの常任投票権を持つ米連邦準備理事会(FRB)副議長の発言である。ところが、ほどなくNY連銀は慌てて火消しに。そのうえ、一部報道がFRB高官の話として「7月のFOMCは0.25%の利下げに留め、追加利下げの可能性を示唆する」などと伝えたことで、とりえず市場の大幅利下げ観測は一旦鳴りを静める。

 先のウィリアムズ氏の発言を巡ってNY連銀内部が一旦上へ下への大騒ぎとなったことは想像に難くないが、それにしても「一部報道」を使ってリークするなどというのはFRBらしくもない。それもこれも、やはり「最近発表された米経済指標の強めの結果に照らして、このタイミングで利下げを断行することの整合性を図ることがかなり難しくなっていることの表れ」と見ていいのではないか。
 なにしろ、7月10日にパウエルFRB議長が議会証言で「米7月利下げ」を実質的に宣言してしまって以降、発表された6月の米消費者物価指数や米卸売物価指数、米小売売上高、フィラデルフィア連銀景況指数などの指標はいずれも強めの結果となった。
 そこで、ウィリアムズ氏はその立場上、止むにやまれず「いかに“予防的”な対応が重要であるか」ということを、ブラックアウト期間に突入する前までに周知しておく必要があると考えたのではないか。あくまで個人的な邪推ではあるが、それだけ今回の利下げ方針からは違和感というか、些か時期尚早との感が拭えない。その実、サンフランシスコ(SF)連銀のデイリー総裁は先週16日に「7月末が利下げのタイミングとして適しているのかいまだに確信が持てない」などと言った見解を公表しており、これも十分に説得力を持つと思われる(因みに、SF連銀は今年の投票権を持たない)。
 そもそも、ほんの1ヶ月前に行われたFOMCで、参加メンバーのうち8人もが「年内は政策金利据え置き」と見通したのである。もはや、7月の予防的利下げ(0.25%)実施決定は止めようがないと思われるものの、それで年内の利下げが打ち止めとなる可能性も十分にあると個人的には見る。むしろ、僅か1回だけの利下げでも十分に米国経済はバブル化し得る。すでに米株市場では主要指数が軒並み史上最高値を更新し続けている。その「資産効果」が目に見える形となって現れるのは、もはや時間の問題と言っていい。

 ドル/円は18日のウィリアムズNY連銀総裁発言で一旦大きく値を下げたものの、その後のNY連銀の火消しによって再び値を戻す展開。ただ、いまだ足下では21日移動平均線をクリアに上抜けるほどの勢いが伴ってきておらず、目先は同線と108.00円処の壁を打ち破れるかどうかが一つの大きな焦点となろう。
 なお、ようやく参院選を通過したことで日本株への投資を手控えるムードは消滅していり。先週、台湾のTSMCが明らかにした「当面の業績見通し」を好感し、全体に半導体関連銘柄が動意づいてきていることもポジティブに捉えると、とりあえず当座のドル/円の下値余地は限られると見ていいのではないか。
 かねて、参院選後には対米通商交渉の本格化で円高方向に靡き易くなると見る向きも少なくないが、果たして、相場はそんなに簡単でわかりやすいものか。ならば、今から一斉に皆で円高にベットすればいいだけのことなのだが、実際には「そう簡単でない」ことなど誰もが熟知している。むしろ、選挙後はわが国の財政問題や消費増税の悪影響などを危惧するムードが強まり、次第に円が買われにくくなる可能性も大いにあると見る。                  
(07月22日 08:45)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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