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第678回 すでにドルは「第4弾」をも織り込んだ!?

2019年08月05日

 前回更新分本欄で、奇しくも筆者は「依然、トランプ氏の心中は決して穏やかでないだろう」などと述べたが、やはり彼は黙っていなかった。
 7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が0.25%の「予防(保険)的」な利下げを決定し、後の記者会見でパウエルFRB議長が「利下げサイクルに入ったわけではない」との旨を強調したことに対して、すかさずトランプ氏は「いつもどおりパウエルには失望させられた」などと卑怯にもツイッターを利用して食って掛かった。
 そして、またもトランプ氏は8月1日のNY時間に衝撃のツイート砲を炸裂させる。既知のとおり、同氏は9月1日から一部の中国製品3000億ドル分に10%の関税を課す意向を明らかにした。「税率は25%を遥かに上回る可能性もある」とまでツイートする念の入れようである。悪いが、こうした程度の低い脅し合いは水面下でやってもらえないだろうか。こんな「脅し文句」を一つ一つ拾っては、それを「ドル売り材料」などと判断するAI(人工知能)の程度というのも現状では知れたものである。いずれは、もっとAIも学習し「これはトランプ氏の発言だから考慮せず」などと判断するのだろうか。

 とまれ、結果的にドル/円はトランプ氏のツイートを受けて大幅下落。NY時間入りするまでは109円台にあったドル/円が一気に107円割れの水準まで下押す状況となったわけであるから、6月の米中首脳会談以降、市場に広がった米中関係改善の淡い期待が裏切られ、いかに市場が大きな失望感を味わったかは想像に難くない。
 もともと、この日は「新月(8月はブラックムーン)」であることから「ドル売りに警戒」などとする向きもあったことは事実だが、それにしても……誰もが予期せぬ奇策によって余計な“実績”をこさえてくれたものである。もちろん、これも瀬戸際での“駆け引き”の一環であることは明らかで、8月末までに中国側が一定の譲歩を示せば、再び追加関税の発動が見送られる可能性も十分にある。ちなみに8月は30日も「新月」である。

 まさか、米中対立の不透明感を強めることでトランプ大統領がパウエル議長に一泡吹かせるつもりだったわけではないだろうが、結果的に市場では追加的な米利下げへの期待が再び高まってきている。
 そもそも、トランプ氏が最も欲しいものの一つは「米株高の状況」。実際に追加関税が発動されれば、その後の米株高は臨むべくもなくなるわけだが、さしあたって市場で追加緩和期待が高まれば、それが米株高の一因になったりもする。これも一種の“トランプ流駆け引き”ということなのだろうか。振り返れば、確かにトランプ氏は米株高の状況が続いているときに限って対中政策の強化を叫ぶことが常である。逆に、パウエルFRB議長が米株価の下落局面で幾度も救いの手を差し伸べていることは言うまでもない。

 一方、足下の米指標が相変わらず強めの結果を全体に示していることも事実で、先週2日に発表された7月の米雇用統計にしても平均時給が事前の市場予想を上回る前年同月比+3.2%の伸びとなるなど、やはり強めの結果となった。さらに、労働参加率も前月に続いて上昇しており、誰の目にも米雇用情勢は絶好調と映るはずである。
 つまり、まともに考えれば当分の間、追加の米利下げはあり得ない。ただ、当面は米中対立への懸念でドル/円は買われにくい。ただ、8月中に対中追加関税を見送るとの報が伝わる可能性は十分にあり、故にドル/円の下値を一段と売り込むのも実は躊躇われる。
 まず、注目したいのは2016年のブレグジット・ショック時の安値と今年年初のフラッシュ・クラッシュ時の安値を結ぶライン(現在は106.10-20円あたりに位置)が下値サポートとして機能するかどうか。もちろん、一時的には105円台を覗きに行く場面があってもおかしくはないが、足下の106円台が対中制裁関税「第4弾」をも織り込んだ水準であることも再認識しておきたい。
(08月05日 08:50)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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