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第679回 引き続き対ドルでのユーロには先安観

2019年08月19日

 先週13日、米通商代表部(USTR)は「トランプ政権が中国からの輸入品に賦課する予定の10%の追加関税について、一部製品に限り発動を12月15日まで延期する」とウェブサイトで発表。この報を受けて、市場ではドル/円が一気に105円近辺から107円近くまで一旦跳ね上がる、強いドル買い戻しの反応が見られた。
 今月初めに対中制裁関税「第4弾」を発動する可能性を示唆したばかりであることを考えれば、まさに「舌の根の乾かぬうちに」といった印象だが、市場関係者のなかには「想定していた通り」と思った向きも少なくはなかっただろう。「一部製品については関税の発動を12月15日まで延期する」などという、いかにも選挙目的の見え透いたやり口は、あえて意図した狡猾なものなのか、それとも本当に浅はかなだけなのか…。むろん、再延期となる可能性もあるという点は頭の片隅に置いておくとして、ここは率直に「打つ手がだいぶ乏しくなってきたな」と感じるところでもある。
 いずれにせよ、トランプ氏の存在自体が「そこにある最大のリスク」であることは否定できない事実であるし、実に不出来な「トランプ・アルゴ」の仕組みが、トランプ発言の表面的な部分だけを捉えて無用に反応し、ときに大きく相場を揺るがすことも、残念ながら現状では避けて通れない事実である。一個人の発言に付和雷同した目先の細かい相場変動などは「ノイズ」と考え、あくまで長期で臨むのが良いか、目先は目先で細かく取ろうと腹をくくるのが良いか、そこは極めて重要な選択ということになろう。

 思えば、8月1日に「米政府による対中制裁関税『第4弾』発動の可能性」との報が伝わるまでドル/円は109円前後の水準にあった。そして、先週は大よそ105円から107円への急変である。これで、相場がかなり傷んでしまったことは想像に難くない。当面、多くの投資家は委縮してしまって、まともに買いも売りも仕掛けられない状態が基本的には続きやすいと見ておかざるを得まい。
 もちろん、例の「逆イールド」の問題もある。一時的にも2年物と10年物の米国債利回りが長短逆転状態となったことをして、直ちに「景気後退局面入りへ」と判断するのも正直どうかとは思う。少なくとも、米国経済自体は堅調な個人消費にも支えられ、なおも拡大傾向を続けると見られる。そこには「株高の資産効果」という要素もあるし、今後も米大統領が何より望むのは“株高の選挙効果”であろう。
 その米大統領自身が「貿易戦争が長引けば長引くほど、中国は弱体化し、米国は強化されると思う」と述べているのである。そうであるならば、ある程度のドル高・中国人民元安は止むを得えないということにもなる。また、実際に中国が弱体化するならば、その中国を最も大事な輸出先としている国や地域、なかでもユーロ圏の景気の先行きは暗い。むろん、それは為替相場をドル高・ユーロ安へと導く。
 つまり、トランプ氏が望むことが実際に成し遂げられれば、その結果は間違いなくドル高に結び付く。それは、おそらく対円でも同様であり、今後のドル/円の下値は自ずと限られると思われる。もちろん、暫くは上値も重いことだろうから、同じドル高を志向するのであれば、当面はユーロ/ドルのショートを基本に考えるといいのではないだろうか。
 既知のとおり、足下のユーロ/ドルは徐々に1.1100ドルの水準を突き崩しにかかっているように思われる。依然として「下降チャネル」内での推移に終始していることも変わりなく、当面の経済指標が劇的に改善でもしない限り、1.1000ドル割れの水準を試すのは時間の問題であると見ていいだろう。
 目下の中国における新車販売が過去最悪のペースで減少している事実を考えただけでも、ユーロ圏を代表するドイツの窮状は火を見るより明らかである。英国がEUからの「合意なき離脱」を選択するなら、ますます域内経済はシュリンクしやすくなることだろう。
 (08月19日 08:50)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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