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第680回 「リスク回避の円買い」は今後も通用するのか?

2019年08月26日

 振り返れば、先週は23日に米連邦準備理事会(FRB)の議長の講演が予定され、かなり以前から市場はその話題でもちきりだった。ところが、実際に蓋を開けてみると、より大きく市場を揺るがしたのは「我々に中国は必要ない」などとするトランプ米大統領のセンセーショナルなツイートの中味と、米通商代表部(USTR)による対中制裁関税の税率引き上げの報であった。
 既知のとおり、先に動いたのは中国。先週23日の21時(日本時間)に中国国務院は対米報復措置を講じると発表し、それを受けて市場では一気に円買いが進むことに。その直前まで、ドル/円は日中高値の106.73円まで上値を伸ばす(21日移動平均線を試す)やや強気の展開を続けていたのだが、そこに突然、中国からの一報が舞い込んだことによって一段の上値追いには急ブレーキがかかった。
 さらに、同日23時(日本時間)からは、いよいよ注目のパウエル議長講演がスタートし、その内容が逐次伝わってくるごとにドルはズンズンと下値を切り下げる展開へ。その時点で、すでにドル/円は106円割れの水準を試す動きとなっていたが、ほどなく前記のトランプ発言が伝わって、一気に105円台前半の水準まで値を沈めた。なお、週明けは105円割れのからのスタートとなっており、当座は104円台半ばあたりの水準をクリアに下抜ける展開となるかどうかが焦点。目先は少々荒い値動きに要警戒となる。

 言えることは、一つに米中貿易戦争が“関税率引き上げ合戦”になってきたのは、もはや制裁関税の対象となる品目がほとんどなくなったことの証であるということ。とどのつまり、米中双方が切れるカードにはもはや限りがあり、その意味では「ほぼ材料は出尽くした」ということにもなろう。
 いま一つに、米中両国による“制裁と報復の応酬合戦”は今後、世界経済全体がリセッション入りする可能性を大いに高めるということ。米中の指導者らにはもう少しまともな見識が備わっているものと個人的には期待してきたのだが、ひょっとすると期待すること自体が間違いだったのかもしれない。このところの米中の指導者の言動はともに暴走気味になってきており、その爪跡が世界経済全体に計り知れないダメージを及ぼすとの懸念は以前よりも強まっているように思う。
 もちろん、それは日本にとっても決して「対岸の火事」ではない。今秋の消費税率再引き上げ、働き方改革の弊害とも言える残業代の減額などにより、今後の国内個人消費は目に見えて冷え込むこととなろう。仮に、そこで同時に株安・円高の傾向が一時的にも強まれば、国内景気の落ち込みには一層拍車がかかっておかしくない。

 そんな厳しい局面が訪れるとして、それでも“リスク回避の円買い”などということが果たして本当に通用するものだろうか。奇しくも、7月の日銀金融政策決定会合は翌日以降に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えていたことから、結果的に「マイナス金利の深堀」など、幾つかの想定される“緩和カード”が温存される格好となった。遠からず“その出番”が到来する可能性も十分あると心得ておかざるを得まい。
 そもそも、足下の米国経済がなおもすこぶる好調に推移していることを忘れてはいけない。結果としてドル・インデックスが高止まりしていることから、米国における輸入増税のダメージはある程度カバーされており、当面は一部で悲観視されているほど景気減速の度合いが高まるということもなかろう。
 市場の受け止めとしては、トランプ氏が「1.0%の利下げと、いくらかの量的金融緩和が必要」などと叫ぶ度に、それをある程度は織り込んで行く。その一方で、FRBによる実際の政策は想定しているほどハト派に傾くわけではないため、結局は「ドル売りの余地も限られてくる」といった状態は今しばらく続くと思われる。
(08月26日 08:55)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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