FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

外貨投資 転ばぬ先の智慧

最新の記事

第681回 市場は米中の歩み寄りに淡い期待

2019年09月02日

 中国商務省の報道官は先週29日、「中国は貿易戦争のエスカレートに断固反対する。冷静な態度で協議と協力により問題を解決したい」、「中国には米国に報復する手段は十分あるが、今話し合うべき問題は新たな関税を撤回し、エスカレートを防ぐことだと考えている」などと述べた。これに対して米国のトランプ大統領が「本日(29日)から異なるレベルでの協議が再開する」と発言したことから、以降の市場には「米中が貿易問題で歩み寄る」との期待が拡がっている。
 正直、米中から伝わってくる貿易交渉関連の報道になど、ほとんど信用できるものはない。実際、トランプ氏は先週26日に交渉再開を表明するコメントを発したものの、ほどなく中国側がそれを否定するという一幕があったばかりだ。ただ、アルゴリズム取引を司る人工知能(AI)は、とりあえず伝わるニュースの内容を文字通り正確に受け止めて直ちに反応する。そこは、そういうものだと割り切って向き合うことも必要であろう。
 なお、米中間の鍔迫り合いということで言えば、先週はやや中国主導でことが進んでいたように思われる。それは、8月23日に中国国務院が「米国が9月から発動する予定の対中制裁関税に対する報復措置」を発表したことに対し、あからさまにトランプ氏がブチ切れてしまったことが発端。一般に、切れた相手に対しては極力冷静に対応した方(今回は中国)が優位を取る。トランプ氏は少々バツが悪い思いをしているのではないか。

 そんなトランプ氏は先週26日、自身のツイッターでドルに対して下落するユーロの様を“like crazy”と評し、FRBの無策と歴史的なドルの強さを嘆いた。目下のドル高に対する同氏の嫌悪は相当なものであると推察される。先週末には、ついにユーロ/ドルが1.1000ドルの水準を割り込み、ドル・インデックスは一段の上昇と相成ったわけであるから、これはトランプ氏でなくとも一言あっておかしくない。
 とはいえ、同氏がどう考え、何を叫ぼうと、思いのままにはならないことも少なからずある。そもそも、3つの望みを同時に叶えることが物理的に不可能な事象である「(政策の)トリレンマ」については、さしものトランプ氏といえども如何ともしがたい。同氏が来年の米大統領選で再選を果たしたければ、できるだけ多くの国民ウケするメニューを用意したいところだが、少なくとも何か一つは、物理的に諦めなければならない。結論から言うと、それは「ドル高是正(=ドル安)」である。
 国民ウケの良い政策を数多く実現しようとすればするほど、それらは結果、ドル買い要因と市場で見做されることとなる。その実、先にムニューシン財務長官が大型減税などの財政出動に踏み切ることを前提に「超長期債を非常に真剣に検討している」と述べたところ、米10年債が売られて利回りが上昇し、ドルが買われるというケースも見られた。

 如何せんドルが強いわけであるから、そのぶん米国における輸入増税のダメージは相当程度カバーされるわけであり、市場全体に巣食っている先行き警戒感、景気減速懸念はやはり少々行き過ぎであろうと思われる。
 少なくとも、足下の米国景気はすこぶる好調で底堅く推移しているわけであり、なおもFRBがまともに機能しているならば、その政策運営の方向性はトランプ氏の意に染まないものとなろう。つまり、FRBは基本的に市場の想定よりもタカ派であり、それはときに市場に対してドルの買い戻しを迫ることとなる。
 先週のドル/円は長めの陽線となり、先々週の陰線との関係はトレンド転換のサインとされる「包み線」。少なくとも、米国に対中制裁関税「第4弾」の発動で一旦「悪材料出尽くし」となれば、一定の上値余地が生じると考えても良さそうなもの。まずは、21日移動平均線をクリアに上抜けることができるかが焦点で、次に107円手前の壁を突き破れるかどうかが注目される。
(09月02日 08:55)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引および証券取引に関するご注意

パートナーズFX、パートナーズFXnanoおよびCFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格とには差額(スプレッド)があります。

取引手数料は無料です。ただしパートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの受渡取引に限り、1通貨単位あたり0.10円の手数料をいただきます。

パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの証拠金は、為替リスクを想定し通貨ペアごとに当社が定める額と、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額のうちいずれか大きい額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。

CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。 国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第681回 市場は米中の歩み寄りに淡い期待