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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第691回  「12月15日」を控えて仕掛けづらい…

2019年12月09日

 先週は、またしても米中貿易協議の進展状況に関わる米トランプ大統領の日替わり、日和見発言に市場が右往左往させられる展開となった。それが多分に意図的・戦略的であることを前提とすれば、いちいち過敏に反応するのもどうかと思うが、プログラム売買の影響力というものも考慮すると、ある程度は致し方がない。
 むろん、基調としての米・日株高&ドル高が大崩れしているわけではなく、その意味では米中協議の行方について、なおも市場は「12月15日」の件も含めて基本的には楽観視していると見ることができる。まして、先週は週末に発表された11月の米雇用統計の結果がポジティブ・サプライズとなったことから、NYダウ平均が前日終値比+337ドルの大幅高となるなど、市場におけるリスクオンのムードは健在である。これほど米雇用情勢が底堅いのにも拘らず、当面の米利上げは考えにくいというのであるから、米株価が上値余地を拡げるのも当然と言えば当然である。
 ちなみに、先週発表された11月の『グローバル製造業PMI』は50.3と7か月ぶりに節目の50を回復した。本欄の11月11日更新分で、筆者はOECD景気先行指数における「OECD+未加盟主要6カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、インドネシア)」の前月比年率変化率について「この数値は大よそ6~9カ月ほど世界の製造業景況指数(PMI)に先行するとされており、そうであるならば世界の製造業はそろそろ持ち直してきてもおかしくはない」と述べた。
 同数値が底入れから反発に転じたのは今年4月、5月あたりであるから、またしても優れた先行性が証明されたとも言えそうである。いずれにしても、世界全体の景況感が改善方向にあるならば、それは基本的に円の上値を押さえる一因として有力と言える。

 とはいえ、基本的に金利が低い状態が続く限りはドルの上値も自ずと限られる。周知のとおり、これは米連邦準備理事会(FRB)が米短期国債の購入を続けていることも一因と見られている。ドル/円にあっては依然、200日移動平均線(200日線)をスッキリと上抜けられない状態が続いており、やはり当面は同線をクリアに上抜けるかどうかということもポイントの一つということになろう。
 ちなみに、IMM通貨先物市場においては、8月下旬に投機筋のポジションが円の買い越しから売り越しに転じ、12月3日時点では47823枚まで売り越しが積み上がってきている。既知のとおり、ひとたび円の売り越しが積み上がり始めると「大よそ10万枚を超えるレベルに達するまでは売り越しが続く」というのが過去の経験則である。
 今後もしばらく売り越し基調が続くと考えれば、いずれ200日線や109円処を上抜けて再び110円処やトライアングル上辺(今週は110.50円あたりまで水準を下げる)を試す展開となる可能性も大いにあると見ておきたい。
 なお、下値については108.30-50円あたりが支持されやすいところとなっており、今週も同レベルを試す展開となれば短期でロングするのも一法と考える。ただ、いよいよ「12月15日」の日程が迫ってくることを考えると、今週はやや神経質な対応が求められる可能性もある。なかなか仕掛けづらい週ということになりそうで、少なくとも「ポジション管理は厳格に」と心得ておくことが重要となろう。

 一方、ユーロの上値は相変わらず重い。先週末6日にドイツ連邦統計庁が発表した10月の鉱工業生産指数は、前月比1.7%の低下。事前の予想が「0.1%の上昇」だったことからも、あらためて独景気の足下の厳しさを実感させられることとなった。やはり、財政出動が回復のポイントとなりそうだが、あまり前向きな話は聞こえてこない。
 結果、依然としてユーロ/ドルは上値を強く押さえつけられたままの状態で推移し続けており、今週も基本的には1.1000-1.1100のレンジ内での推移を続けるものと思われる。(12月09日 08:55)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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