前回更新分の本欄で、ユーロ/ドルについて「なおも基本的には戻り売りスタンスで臨みたいと個人的には考えており、仮に1.0950ドル処をクリアに下抜けた場合は、そのまま1.0900ドル割れを試しに行く可能性も大いにある」と述べた。
結果は想定通りで、先週10日にユーロ/ドルは1.0950ドル処をクリアに下抜け、翌11日に一旦小反発はしたものの、ほどなく再び下げに転じてからは週末にかけて1.8500ドル処をも割り込む超弱気の動きを見せることとなった。
昨年10月1日安値=1.0879ドルを試す格好となったところでは、一つの節目水準で一旦下げ渋ってもおかしくなかったと思われるが、結局はいともあっさりと同水準を下抜けることとなり、当面は一段の下値リスクに警戒を要する。
ちなみに、昨年10月安値の1.0879ドル処というのは2017年1月安値から2018年2月高値までの上げ幅に対する76.4%押しの水準に近かった。その水準をも下抜けたからには、少し長い目で2017年1月安値=1.0340ドルが意識されるようになる可能性があると見ておくことも必要であろう。
そこまで見込まないまでも「昨年10月高値と12月高値で形成されるダブルトップのネックライン水準(=1.0981ドル)と昨年12月高値との値幅をネックライン水準から下方にとった値=」1.0723ドル処というのは現実的な次の下値の目安の一つとなり得よう。
既報のとおり、先週10日には、ドイツでキリスト教民主同盟(CDU)のクランプカレンバウアー党首が次期首相候補となることを断念し、近く党首も辞任する意向であることを示した。当面の政治的混迷が独景気の立ち直りを遅らせるとの懸念は、もともと弱気に傾いているユーロにとって弱り目に祟り目ということなりそうである。
先週末14日に発表されたドイツの2019年10-12月期GDPは前期比0.0%(変わらず)という結果に留まったが、あくまで速報値の段階であり、場合にとっては改定値で下方修正される可能性もないではない。まして、2020年1-3月期にあってはマイナス成長に陥ることが確実視されるわけで、やはりユーロにはヘタに買いの手を伸ばす気になれないというのが本音のところだ。
なお、主にユーロ安が演出しているドル高はドル/円においても一定の底堅さを発揮する大事な要素となっている。むろん、米国の株価が強い基調を維持していることと、その基調に連れて日本株も比較的底堅く推移していることが、ドル/円の下値を支える役割を果たしているというところもあろう。
米株価については、何より企業決算の内容が総じて良好であることに注目すべきであると思うのだが、皮肉なことに新型ウイルスの感染拡大に対する警戒が米債利回りを低位に押さえ込んでいることも足下の株高と無縁ではない。
目下のところ、109円台後半がドル/円にとって居心地のいい水準のようで、110円台に乗せる場面もないではないものの、決まって押し戻されるといったパターンが続いている。先週は、一目均衡表の週足「雲」上限が109.80円処にあったことも上値の重しとなった模様で、今週も週足「雲」上限をブレイクできるかどうかが一つの焦点ということになろう。
同時に、これまで長らく上値抵抗として意識されてきた2015年6月高値とその後の高値を結ぶライン(すなわち、トライアングルの上辺)が、そろそろ110円割れの水準にまで降りてきているという点も見逃せない。なお、今週は19日に1月開催分のFOMC議事録が公開される。先週10日に行われたバウエルFRB議長の議会証言に対して、市場は「想定したほどハト派寄りではなかった」と受け止めたようであるが、議事録の内容次第で市場のムードに変化が生じる可能性もあり、そこは要注意と言えよう。
(02月17日 08:55)