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第712回 注目を続けたい豪ドル/円の値動き

2020年06月01日

 先週は、NYダウ平均が一時25700ドル台まで上値を試す一方で、日経平均株価が一時2万2000円まで「あと45円足らず」の水準まで値を上げる場面があり(週間の上昇率は7%超)、総じてリスク選好ムードが全体に強く漂い続けた。
 結果、基本的にはドル売りと円売りがともに優勢となり、足下のドル/円の値動きは非常に限られたものとなっている。週末29日にやや強めの売り圧力がかかった場面でも下値は107.08円までに限られ、後に急反発して結局は107.80円台で週の終わりを迎えた。

 週末のNY時間に見られたドル/円の急激な切り返しは、一つに「月末の需給に伴う円売り・ドル買いの結果に因るところが大きい」と思われるが、ほかに「107円を割り込まなかったことで短期筋がショートカバーを進めた」という側面もありそうだ。
加えて、WEB討論会に登場したパウエルFRB議長がマイナス金利導入の可能性をあらためて否定したことや、トランプ米大統領による対中制裁措置についての言及が事前に警戒されていたほど厳しい内容ではなかったことも、市場でドル買い戻しの材料として捉えられた模様である。
 トランプ氏は、中国を強く批判する姿勢を露わにしながらも、米国が香港に認めている優遇措置を見直す手続きに入ると発表した以外の即時かつ具体的な制裁の中身にまでは踏み込まなかった。再燃した米中対立の行方について、かなり悲観的な見方を披露する論客も少なくはないが、もはや双方がともに後戻りできなくなるほど壊滅的な状況に追い込まれることを、本当に両国首脳は望んでいるのだろうか。
 米中対立が一段と先鋭化して行った場合に想定される両国の経済的なダメージは計り知れないほど大きく、それが現実のものとなれば両国の国民の不安と怒りは必ずや政府首脳に向けられることとなる。しかるに、そう易々と制裁カードを切ることができないことなど両国首脳は重々承知のことであろう。もちろん、一定の警戒は怠れないものの、いたずらに悲観に傾き過ぎることも慎みたいところではある。

 そもそも、世界の主要中銀はコロナ禍への対抗手段として、これまでに計6兆ドルにも及ぶリスク資産の買い入れを行ってきている。その軽視できないパワーを考えると、巷で耳にする「株価と経済実体のかい離」、「バリュエーション面からして株価は割高」などといった見解も説得力を欠く。まして、目下は世界中で経済活動を再開する動きが広がっており、少なくとも5月以降の各国の経済指標や景気データからは、数多くの改善を示す結果が得られることとなろう。
 むろん、先週大きく値を上げることとなった日経平均株価が今週は一旦調整含みの展開となることなどは一応想定しておく必要があろう。月替わりで米経済指標の発表が相次ぐ今週は、一時的に様子見ムードが強まる可能性もある。よって、今週もドル/円は方向感の見出しにくい展開となる可能性が高く、個人的には107.30-108.30円あたりのレンジ内の動きに終始するのではないかと考える。
 なおも市場のリスク選好ムードが引き継がれるとすれば、円売り圧力が強まると同時にドル売り圧力もやや強まりやすい。一方で、その強みが復活しつつある豪ドルの買いと円の売りが同時進行するならば、今週も豪ドル/円の値動きは大いに注目しておきたいところとなろう。豪ドル/円は、先週27日に21日移動平均線が89日移動平均線を上抜けるゴールデン・クロスを達成しており、週足ベースでは31週移動平均線を上抜ける動きとなってきている。なおも強気の展開が続いた場合は、まず62週移動平均線や一目均衡表の週足「雲」下限が位置する73円台半ばあたりの水準を試す可能性があると見る。
 なお、今週4日に控えたECB理事会では3月に導入した7500億ユーロの資産買い入れ枠を増額すると見る向きが大勢を占める。つまり、その点は「既に織り込み済み」ということになるものと考えられる。
(06月01日 08:40)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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