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第720回 なお市場のリスク選好ムードもそろそろ一服?

2020年07月27日

 先週21日、欧州連合(EU)が招集していた首脳会議において、ようやく総額7500億ユーロ規模の復興基金創設案が合意されるに至った。このことは、長年の悲願である欧州統合に必要な要件の一つである財政統合への足取りに弾みをつけるきっかけとなる可能性があり、それは欧州安定の重要な後ろ盾となり得るポジティブな材料であるとして、合意の事実が伝わった後の市場は素直にユーロ買いで反応した。
 もともと、合意前から市場の期待は非常に強く、ユーロ/ドルは6月下旬に位置していた1.1200ドル処から1カ月足らずの短い間に1.1600ドル超の水準まで一気に急騰。3月高値の1.1495ドルを上抜けたばかりでなく、2018年2月高値から今年3月安値までの下げに対する「半値戻し」の水準(=1.1595ドル)にまで到達することとなった。

 今回の「復興基金で合意」の余韻は、先週末時点においてもユーロ/ドルを高止まりさせることに貢献していた。ここからさらに勢いがついた場合には、2018年9月高値が位置する1.1815ドルや61.8%戻し=1.1821ドルあたりを試す動きとなる可能性もないではないと見られる。むろん、足下の高値警戒感は既に相当高まっている。
 ただ、今回の合意については「危機が迫ったがゆえの一時的な団結に過ぎない」と見ることもできなくはない。その実、過去においても目の前の危機が遠ざかると途端に統合への歩みが停滞するといったパターンは繰り返されてきた。
 しかるに、少し気は早いかもしれないが、最終的に「コロナの危機をもってしても変えられない欧州」を思い知るときが訪れる可能性もあろう。その場合は、今足下で生じているユーロ買いの流れが反転する可能性も十分にある。その点は今後も頭の片隅に置いておきながら、ユーロという通貨とは向き合う必要があると個人的には考える。

 むろん、このところのユーロ/ドルの上昇に「ドル安」が大きく貢献していることも見逃すことはできない。一つには、いわゆる「リスク選好(オン)のドル売り」という流れがあり、その背景には世界的な株高がある。ことに米国株の全体的な好調ぶりには目を見張るものがあり、なかでも米国のIT・ハイテク大手の株価は、足下で少々買われ過ぎと思われるほど強い基調を維持してきている。
 米国株を強気にさせている要素の一つは、新型コロナウイルスの感染拡大が促す社会の劇的な変容が、米国の「GAFA+M」をはじめとする世界の少なからぬ企業に恩恵をもたらすとの見方が足下で拡がっていることである。
 また、このところ新型コロナウイルスワクチンの開発において一段と有望なデータが示されてきているという点も、世界的な株高の一因として軽視できない。既知のとおり、先週は英オックスフォード大学と英アストラゼネカ社、米ファイザー社と独バイオNテック(バイオファーマシューティカル・ニュー・テクノロジーズ)社などによる共同開発の成果が伝えられ、これらを株式市場は一様に好感していた。

 ただ、先週は週末にかけて市場の全体のムードがややリスク回避の方向に傾いたという事実も見逃せない。米国での感染第2波が依然勢いを保ったままであることに加えて、米中間の対立が激化し始めてきていることが主因と見られる。
 そんななかでドル/円が一時的にも106円を割り込むこととなったのは、リスク選好のドル売りではなく、米国経済の先行きを懸念したストレートなドル売りである可能性もあり、その点は週明けから警戒しておかねばなるまい。もともと、106.70-80円処を下抜けると一旦は106.00円処を試す可能性が高いと見られていたわけで、まずは106.00円処をクリアに下抜けるかどうかを見定めることが重要となる。既知のとおり、106.00円処は昨年5月初旬や6月下旬に下値をガッチリ下支えしたところ。また、市場のリスク選好ムードが一服し始めている点もポイントとなろう。
(07月27日 08:50)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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