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第730回 ユーロの弱気材料をあらためて整理しておきたい

2020年10月19日

 先週14日、ムニューシン米財務長官から「大統領選前に何か成し遂げるのは難しい」との発言があった。同氏の言葉を借りずとも、この期に及んで追加の経済対策で与野党が合意を取り付けることに期待するのは無理筋というものであろう。
 結局は米大統領選の結果次第ということになるわけだが、市場の票読みは今のところバイデン民主党候補の方に傾いていると伝わる。一部には、民主党が大統領選と上下両院の3つを制する「トリプル・ブルー」を予想する向きもあり、そうなれば向こう4年間で2兆ドル規模のインフラ投資が動き出すと期待する声も聞かれる。結果、景気回復のペースが早まれば、米連邦準備理事会(FRB)が利上げのタイミングを想定よりも前倒ししてくる可能性も十分にある。
 バイデン氏が掲げる増税の方針については、深刻なコロナ下で直ちに増税案の実行に向けて歩み出すことは困難であろうと思われる。たとえバイデン氏が新大統領に就任することになっても、増税は2年後の中間選挙が終わってからということになるのではないだろうか。そうであるとすれば、当面は経済対策が奏功して米・日株高と緩やかな円安の方に市場はなびきやすくなると思われる。
 むろん、米大統領選の結果についていたずらに予断を持つことは禁物であるが、どちらの候補が勝利しても景気刺激的な政策がまず先に打ち出されることは間違いないと見られる。むしろ、なかなか選挙の決着がつかないのではないかという懸念の方が強いわけであるが、決着までに相当の時間を要する可能性があることは、すでに世界中のメディアが大々的に報じている。その点は、大方織り込み済みということになろう。
 もちろん、ここから少なくとも1カ月程度はいつも以上に慎重に相場と向き合う必要がありそうだが、おそらく模様眺めムードが色濃くなり、結局はドル/円の値動きも限られたものになると見ておきたい。
 
 ユーロ/ドルについては、前回更新分の本欄で足下の強含みの展開について「個人的な違和感を捨てられないでいる」と述べた。そして案の定、先週のユーロ/ドルは一時的にも1.1700ドル割れの水準を試す些か弱気の展開となった。
 既知のとおり、目下は欧州でコロナ感染の第2波が猛威を振るっている。国際通貨基金(IMF)が先週13日に公表した世界経済見通しによれば、2020年は米・日に比してユーロ圏の落ち込みが大きいと見られている。
 市場では、欧州中央銀行(ECB)が12月の定例理事会で追加緩和に踏み切るとの見方も強まっている。コロナ対策の資産購入枠を現行の1兆3500億ユーロから積み増し、購入期限を来年月から年末まで延長するという案が有力視される。なお、中銀預金金利のマイナスの深堀については、かえってユーロ高を招く可能性もあるとの観点から好ましくないとの意見も聞かれている。
 また、トルコリラの下げに歯止めが掛からない状態が続いており、それが欧州不安につながる可能性というのも大いに危惧されるところとなっている。トルコのエルドアン政権が支援するアゼルバイジャンとアルメニアの民族紛争が再燃しており、問題が長期化すればトルコと欧米との関係は悪化する。何より問題なのは、トルコの外貨準備が足下で387億ドルと昨年末から半減し、債務危機への懸念が高まっていることである。トルコの短期の対外債務は約1700億ドルに積み上がっていると見られ、万一、債務危機に陥れば債権を抱えるスペインやフランスに甚大なダメージが及ぶ。
 加えて、英国と欧州連合(EU)との通商交渉が泥沼化していることもポンドとユーロの弱気材料と見做されやすい。結果的に、ユーロ/ドルの一段の下値を探る展開となった場合、まずは89日移動平均線(現在は1.1640ドル)、9月25日安値=1.1612ドルが意識されやすく、一目均衡表の日足「雲」下限をも下抜けると、一旦は1.1500ドル割れの水準を試すことになると見る。
(10月19日 08:25)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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