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第736回 少し長い目でドル高始動に備えておきたい

2020年12月07日

 先週末4日に発表された11月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが+24.5万人と事前予想(+46.0万人)を大幅に下回った。
 失業率は低下した(6.7%)ものの、それは労働参加率の低下(61.5%)によるところが小さくない。平均時給の伸び(前年比+4.4%)が依然として高水準なのは、言うまでもなく相対的に賃金水準が低い労働者の割合が低下しているためで、総じて足下の雇用改善ペースは鈍化していると考えざるを得ない。
 それにも拘らず、同日の米株価は堅調に推移し、NYダウ平均は4日続伸となった。雇用統計が弱めの数値を示したことで、むしろ市場は追加経済対策の実施決定が前倒しで行われるとの期待を強めている模様である。結果、米10年債利回りが一時0.98%まで上昇したことも見逃せない事実。相変わらずの「いいところ取り」というわけである。

 とまれ、米債利回りが上昇したことを受けて素直にドルが買われる結果となったことは一つ注目に値する。いわゆる「リスク選好のドル売り」の流れにはならなかったのである。
ドル/円が104円台を回復したことについては「リスク選好の円売り」と捉えられかねないところもあるが、同時にユーロ/ドルが4日ぶりの下落に転じ、同日の日足ロウソクが少々長めの上ヒゲを伴う陰線を描くこととなったことは見逃せない。
 もちろん、1.20ドル処を上抜けてからのユーロ/ドルの上昇が少々過熱気味であったことも事実ではある。11月初旬から形成していた上昇チャネルの上辺水準に達したことも反落の一因と考えられなくはない。今週10日に予定されるECB理事会を前に、ポジション調整のユーロ売りが出たという側面もあろう。基本的にユーロ高・ドル安の流れは今しばらく続くと見る向きも市場には少なくないようではある。

 とはいえ、ドイツでロックダウンが12月20日まで延長され、規制の内容が一層強化されたのにも拘わらず、市場でユーロがグイグイ買い上げられ続けている状況には、やはり相当な違和感を禁じ得ない。欧州中央銀行(ECB)が緩和姿勢を一層強めるとしているのも、ウイルス感染再拡大に伴うロックダウンと規制強化によって、今後の域内景気に相当なダメージが及ぶことを大いに危惧しているからである。
 結局のところ、このところのユーロ高・ドル安は「比較的値動きのいいところについた」というより「比較的動かしやすいところを動かした」という投機の結果でしかなく、それが本流であるとは考えにくい。

 ここであらためて考えたいのは、そもそも「米株高でリスクオンはドル売り」などという単純で浅薄な条件反射を、一体いつまで繰り返すのかということである。
 なかには「米実質金利が低いからドルは買えない」と胸を張る向きもあるが、米実質金利が低いのは「期待インフレ率が高いから」であるということを忘れてはならない。期待インフレ率が高いということは、それだけ米国経済に強い底力が備わっているということを意味しているのであり、普通に考えればドルの強気材料の一つとなり得る。
 なお、市場には「民主党政権になるとドル安が進みやすい」などと、まことしやかに唱える向きもあるが、過去の歴史を紐解いてみると実際にはそのような法則性などない。むしろ、民主党大統領であろうと共和党大統領であろうと、いずれも就任1年目はドル高傾向が強まりやすくなるということがわかっているのだ。
 もちろん、今しばらくはドル売りになびきやすい状態が続くかも知れない。しかし、そうしたパターンがいつまでも繰り返され続けることもないだろう。いよいよワクチンの供給が現実のものとなってくると、為替相場の顔つきがガラリと変わる可能性も大いにあると思われる。少し長い目で「ドル高始動」の局面に備えておきたいと個人的には考える。
(12月07日 08:15)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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