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第744回 欧州当局者のあまりにも必死な姿が先行き懸念を強める

2021年02月08日

 前回更新分の本欄で「 当面はワクチン拡大のスピードが(市場で)モノを言う!」と述べた。実際、世界の株式市場でも、ワクチン接種の進捗度合いが株価を左右するといった状況が顕著になってきており、既知のとおり世界で最も接種率が高いイスラエルやアラブ首長国連合の株価は抜きん出て上昇率が高くなっている。
 また、米大手総合情報サービス会社のブルームバーグも「ワクチン接種と為替の相関高まる、接種差利用のトレーディングも登場」との見出しを打って(先週5日)「欧州連合(EU)のワクチン供給を巡る混乱はユーロを圧迫している」などと伝えていた。
 
 前回、ユーロ/ドルについては「ひとたび(一目均衡表の)日足「雲」のなかに潜り込めば、1月18日安値の1.2053ドルから節目の1.2000ドルを試す展開になると見る」と想定したが、実際、先週4日の欧州時間入り後には1.2000ドルをすんなりと割り込み、翌5日には一時1.1952ドルまで下落する場面があった。
 週末のニューヨーク時間に1月の米雇用統計が発表された後は、その結果を受けてドル売りが強まり、結果的にユーロ/ドルは1.2050ドル処まで値を戻すこととなったが、買い戻しの流れは一過性のものとなるのではないか。今回は、ユーロ/ドルの売り方が利益確定目的の買い戻しを仕掛けようと算段するなか、米雇用統計の結果が“格好の口実”として利用されただけに過ぎないと見ていいように思われる。
 確かに、1月の米雇用統計の結果はあまり芳しいものではなかった。しかし、米国内のワクチン接種状況が足下で加速しはじめていることを考えれば、さほど悲観的に見る必要もないだろう。
 もちろん、このところ欧州当局者からユーロ高をけん制する発言が相次いでいることをユーロ/ドル下落の一因と見ることもできそうである。ただ、当局がけん制しているからユーロの上値が押さえられているというよりは、口先介入を繰り返す当局者のあまりにも必死な姿勢そのものが域内経済の先行き懸念を強め、結果、ユーロが売りに押されていると見た方が適切であるようにも思われる。
 とまれ、ひとまずユーロ/ドルは日足「雲」下限の水準で一旦下げ止まった格好となっており、目先は同水準での下値サポートが機能し続けるかどうかが注目される。市場の一部からは「今後数カ月で1.1500ドル以下に下落する可能性がある」との声も聞かれ、いずれ日足「雲」下限の水準を下抜ける可能性も十分にあると見る。
 その場合、次の下値の目安となり得るのは昨年11月安値から今年1月高値までの上昇に対する61.8%押し=1.1888ドル処ということになると見られる。

 一方、ドル/円については前回「仮に105円台乗せを実現した場合には、次に昨年11月高値=105.68円が意識されやすくなる」と述べたが、実際、先週5日には一時105.77円まで上値を試し、一時的にも200日移動平均線を上抜ける場面があった。
 後に、米雇用統計の結果を受けて105.30円処まで一旦調整することとなったが、前述したように米雇用統計の結果をさほど重要視する必要はないものと思われ、それが長らく尾を引くようなことにはならないと見られる。
 目先の調整一巡後に再び切り返した場合には、昨年のコロナ・ショック後(3月24日)につけた高値から直近安値(102.59円)までの下げに対する38.2%戻し=106.07円が次の上値の目安の一つになると見ておきたい。
 言うまでもなく、米国と日本のワクチン拡大のスピードの差は比較にならないほど大きい。まして、米国では先週末に米上院で今会計年度に予算の大枠となる予算決議案が可決された。これでバイデン米大統領が目指す追加経済対策の実現にまた一歩近づいたわけである。よって、なおもドル/円は基本強含みで推移すると見る。  
 (02月08日 07:30)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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