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第746回 米金利とクロス円の上昇は目先一服となる可能性も…

2021年02月22日

 前回更新分の本欄で予想したとおり、ドル/円は先週16日に200日移動平均線(200日線)をクリアに上抜けたうえ、さらに昨年のコロナ・ショック後につけた高値から直近安値までの下げに対する38.2%戻し=106.07円をもほどなく上抜ける動きとなった。
 翌17日には一時106.22円まで上値を伸ばしたが、同水準は今年1月に102.59円の安値を付けて底入れ・反発してから形成してきた「上昇チャネル」の上辺が位置する水準にあたることから、そこでひとまずは上げ一服。先週末19日には再び200日線を下抜けることとなったが、あくまで当面の下値の目安は一つに前述した上昇チャネルの下辺(現在は105.00円処)ということになると思われる。

 気になる米10年債利回りは、先週末19日に一時1.36%台まで上昇し、30年債利回りも一時2.15%台まで上昇した。結果的に2-10年債の利回り格差は+123まで拡大することとなり、ますます「スティープ化」は加速している。
 その背景には、先週16日に発表された2月のNY連銀製造業景況指数が12.1と前月の3.5から大幅に上昇したことや、翌17日に発表された1月の米小売売上高が前月比で5.3%もの増加となった(予想は1.1%増)ことなどがある。やはり、ワクチン効果への期待が見る見る強まっていることと、昨年末に実施された600ドルの直接給付の効果、追加の給付に対する期待などが個人消費にプラスとなっていることは間違いない。
 当然、市場のインフレ期待は盛り上がるわけであるが、ここもとの米債利回りの上昇がやや行き過ぎとの感も否めないことは事実。そろそろ利回りの上昇とスティープ化の流れが一旦落ち着いてもおかしくはない。

 米債利回りの上昇が一旦落ち着けば、結果的にドル/円の上値が重くなる可能性はあるのだろうが、ドル/円の下値を支える要因の一つに「強いクロス円の値動き」=円全面安の展開というものが大きく関わっていることも見逃せない。
 既知のとおり、豪ドル/円は2月に入って一段と強い動きになってきており、先週末19日には一時83円台に乗せる場面も見られていた。84円処は一つの節目として意識されやすいと考えられ、同水準では目先上げ一服となる可能性もあると見られる。
 また、年初から続くポンド/円の上昇も目を見張るものがあり、振り返ると昨年12月の第3週以来、先週までポンド/円の週足ロウソクは10連続の陽線となっている。目先の上値の目安は19年3月高値=148.84円ということになりそうだが、同水準から149円台半ばあたりまでの水準は過去に幾度も上値を試した水準でもあり、場合によってはそろそろ上げ一服となる可能性もあるという点には注意が必要となろう。
 もちろん、ポンド/円が19年12月高値=147.95円を上抜けてきたことにより、ダブルボトム完成で一段高となる可能性もないではなく、そうなればドル/円の上値余地も一層拡がりやすくなるだろう。ドル/円が前述したチャネル下辺あたりで下げ止まることとなれば、再び直近高値の106.22円を試し、同水準を上抜ければいずれ107円台も視野に入ってくると見る。ちなみに、昨年のコロナ・ショック後につけた高値から直近安値までの下げに対する50%戻しは107.14円であり、一応は念頭に置いておきたい。

 一方、なおもユーロ/ドルは一目均衡表の日足「雲」のなかに潜り込んだ状態となっており、21日移動平均線付近でのもみ合い状態にある。一部市場からは調整一巡との声も聞かれるが、目下は上値を積極的に買い上がって行く特段の理由があるというわけでもない。
 今しばらくは、依然もみ合いの状態が続くものと見られ、1.2080ドルを軸とした1.2010-1.2150ドルのレンジ内での値動きを想定して臨みたいと考える。やはり、1.2150ドル処の上値抵抗をクリアに上抜けるかどうかが一つの焦点ということになろう。
(02月22日 07:10)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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