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第748回 米債利回りとドル/円の上げもそろそろ一服?

2021年03月08日

 先週は、ついにドル/円が108円台に乗せる展開となった。週末5日には一時108.64円まで上値を伸ばす場面もあり、昨年3月につけたコロナ・ショック後の高値から今年1月安値までの下げに対する61.8%戻しの水準(=108.22円)を超えてきている。
 前回更新分の本欄では、1月初旬から形成している上昇チャネル内での推移が続いている点に再注目したが、先週4日には同チャネルの上辺をも上抜けており、そこから一段と上げが加速した格好となった。また、結果的に先週の週足ロウソクが一目均衡表の週足「雲」を一気に上抜ける動きとなったことも見逃せない。
 ちなみに、今年1月安値から2月17日高値までのドル/円の上昇は5波構成となっており、その上昇幅を2月23日安値に足してN計算値を求めると108.55円となる。同水準は一つの節目であると考えるならば、先週末の高値108.64円あたりでとりあえず上げ一服となる可能性もあるものと見ておきたい。

 既知のとおり、依然として米債利回りが強含みで推移していることが、このところのドル/円急上昇の一因。先週4日に行われたウォールストリート・ジャーナル(WSJ)主催のウェビナーに登場したパウエルFRB議長のコメントが市場に「拍子抜け」、「期待外れ」と捉えられ、そのことが利回りの上昇を一段と加速させることになった。
 市場全体が極めて神経質になっているなか、今回のパウエル議長の発言に対して「大いに失望」、「些か無神経」との評もあるようだが、実のところ当人にとっては“確信犯”的な発言であった可能性もあると筆者は個人的に考える。FRBとしては、市場に幾つかの若干異なるメッセージを投げかけることで、その反応をじっくり見定めたいとうところがあるのではないだろうか。いつか必ず訪れる本格的な「正常化」に向けて、少しずつ地ならしをしておきたいとの意向もあろう。
 結果として米10年債利回りは一時1.6%台まで上昇することとなったが、それでも昨年の年初の水準(1.95%前後)には遠く及んでいない。なおも米政策金利は据え置かれたままであり、テーパリング開始の方針が示されたわけでもない。2月下旬以降、ナスダック総合指数が一時的にも10%超の下げとなったが、それは「当然の調整」の範囲内での動きであり、もともと上昇のスピードが過度に加速していたことも事実である。そもそも、金融政策が常にマーケット・フレンドリ―というわけではないのである。

 「もうはまだなり」という格言があることは百も承知であるが、さすがに足下の米債利回りとドル/円の上昇も「そろそろ一服」ということになるのではないか。だからと言って、ここからドル/円に逆張りの売りを積極的に仕掛けることも躊躇われるが、一旦立ち止まって様子を見たい局面であることも事実と言えよう。
 むろん、当面の下値余地はさほど大きくないものと思われるが、差し当たり108円台を維持できるかどうかを見定めながら、仮に108円を下抜けてきた場合には、前述した50%戻し=107.15円あたりまでの調整はあってもおかしくないと見ておきたい。

 一方で、ユーロ/ドルは前回想定した通り1.2050-60ドル処をクリアに下抜けたところから下げが加速し、節目の1.2000ドル処をもあっさりと下抜けて、一時1.1900ドル割れの水準まで値を沈めることとなった。結果、昨年11月安値から今年1月高値までの上げに対する61.8%押しの水準に到達している。
 今週11日に予定されるECB理事会に対する市場の警戒は根強く、少なくとも同会合を通過するまでは基本的に上値の重い展開が続くと見られる。もっとも、ドルが一旦調整含みとなる可能性も一応は考慮したいし、ECB理事会を通過した後のユーロが一旦「事実で買い」となる可能性もないではない。想定どおりに下げてきたユーロ/ドルだが、1.1900ドル処では一旦下げ渋る動きとなっておかしくないと見る。
(03月08日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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