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第755回 ドル/円は「調整一巡」となるかどうかの正念場

2021年04月26日

 先週末23日のドル/円の日足ロウソクは、いわゆる「寄せ線」から「下十字」に近い形状となった。市場の迷いが如実に表れる格好となったわけだが、一段の下値追いにはやや慎重といったムードもないではない。
 同日は、かねて多くの市場関係者が一つの下値の目安としてきた「今年1月安値から3月高値までの上げに対する38.2%押し=107.75円処」の水準を割り込む場面もあった。しかし、結局は再び同水準を上回って週を終え、その終値は一目均衡表の日足「雲」上限とほぼ同水準となった。こうした複数の重要な節目を試す格好となっている現状というのは、まさに一つの正念場ということになろう。
 仮に、あらためて107.75円処をクリアに下抜けると、次は50%押しの106.78円処が意識されやすくなると見られる。同水準に近い106円台後半の水準には週足「雲」上限が位置していることも一応は確認しておきたい。
 逆に、このあたりで調整一巡ということになれば、まずは21日移動平均線(現在は108.70円処)を再び試す動きから、少し長い目で一目均衡表の月足「雲」下限(現在は110.14円)あたりを意識した動きになっていくと見る。あくまで、趨勢的なドル高・円安の流れは続いているとの見方がベースにある。

 一つのカギを握るのは、言うまでもなく今週27-28日に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)ということになる。政策論議の前提となる米国経済は日増しに明るさを取り戻しており、足元で発表される米経済指標や景気データも非常に強い結果を得ている。インフレ期待も着実に高まりつつあるが、その点について米連邦準備理事会(FRB)は「あくまで一時的な上昇」との見解を示している。
 目下のFRBは「物価(インフレ)」よりも「雇用」の方をより重視しようとしている模様であり、ことに労働参加率の一段の上昇を今しばらくは見守りたい様子。そもそも、米国の雇用者数は、いまだパンデミック前の水準に遠く及んでいないのである。
 結果、足元の米10年債利回りは1.60%割れの水準に落ち着いており、市場には「今回のFOMCでもFRBは慎重姿勢を堅持する」と見る向きが多い。むろん、その点はすでに織り込み済みとなっているはずであり、実際に今回のFOMCがハト派寄りの姿勢を示したとしても、それが今さらドル売り材料視される可能性は低いと見る。

 一方、先週22日には注目されていた欧州中央銀行(ECB)の定例理事会が行われ、その結果に対する市場の受け止めは「想定していた以上に慎重姿勢が強かった」というものだったらしい。市場は、ECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の段階的終了を7月にも開始すると見て、次回6月の理事会を前に「今回は何らかの方向性を匂わす可能性がある」と想定していた模様であるが、今回は見事にはぐらかされた。
 正味のところ、現在のユーロ圏におけるコロナ感染の状況下で当局が“匂わす”などといった行動をとったら、それはどうかしているとしか言いようがない。
 むろん、いずれはECBも具体的に“出口”を見据えた行動をとりはじめることとなるのだろうが、それはFRBも同じであり、目下の市場には「ECBの方がFRBより早い」という見方もあれば、それとは真逆の見方もある。今週末30日に発表されるユーロ圏の1-3月期GDP(速報値)は2期連続のマイナスとなる見込みであるが、その結果について市場は「もはや過去のこと」と割り切って受け止めることができるのだろうか。
 とまれ、先週末時点でユーロ/ドルが1.2100ドル付近まで値を上げる動きとなったことも事実であり、目先は日足「雲」をクリアに上抜けるかどうかが注目される。上抜けると一旦は1.2200ドル近辺まで上値を試しに行く可能性もあると見られるが、いずれにしてもそろそろ戻り一服となっておかしくはないと見る。
(04月26日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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