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第758回 米金融政策の“風向き”が大きく変わり始める!?

2021年05月24日

 このところ、米金融政策当局者らの発言に対する市場度の注目度が日増しに高まっている。実際、先週末21日もダラス連銀のカプラン総裁やフィラデルフィア連銀のハーカー総裁らが「早期のテーパリング議論の開始」について前向きな姿勢を示したことで、ドルが強含みになる場面が見られていた。
 既知のとおり、カプラン氏やハーカー氏は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)において投票権を持つメンバーではない。とはいえ、市場にとっては決して無視できるものでもない。まして、先週19日に公開されたFOMC議事録によれば、複数のFOMCメンバーが先の政策会合において資産購入ペース縮小の論議開始を予想したとされる。
 輪番制で投票権が与えられる4人の地区連銀総裁を含め、今年のFOMCメンバーは基本「ハト派」で構成されているだけに、いよいよ米金融政策の“風向き”が大きく変わる気配も濃厚になってきつつあると言えるだろう。
 言うまでもなく、米金融政策における現行の資産購入策はパンデミックが及ぼす影響に対する緊急対応として導入されたものであり、新柄コロナウイルスの感染拡大が収束に向かえばその必要性も薄れる。まして、テーパリングは資産購入額を段階的に減らして行く措置であり、決して資金回収の手立てではない。
 よって、今後も米金融政策担当者らの発言には常に耳をそばだてておかねばなるまい。このところ、FRBは市場との「対話」を重視しながら極めて慎重に事を進めている。そうしているうちに、徐々に“外堀”が埋待っていくと見ておくことが必要である。

 それもそのはず、米国における足元の経済再開のペースは想定していた以上に速まってきている。ニューヨーク市では、地下鉄の一日あたりの推定乗客数が昨年3月上旬以来の多さになり、先週17日には24時間運行も再開されている。米小売り大手のウォルマートやコストコなどでは、多くの店舗でワクチン接種済みの来店客にマスク着用を求めなくなったという。日本の現状を考えれば、実に羨ましいかぎりである。
 こうした米・日の実情に浮かび上がる明確なコントラストが、基本的には市場でドル買い・円売りを後押しすることになる。その実、足元のドル/円は依然底堅く推移し続けており、目下は一目均衡表(日足)の「基準線」が下値を支える格好となっている。この基準線を一時的に下抜けたとしても、108.30-40円処の節目をクリアに下抜けないかぎりは「目先調整の範囲内での動き」と理解したい。
 ちなみに、この週明けから日足「雲」の上限水準が109円台前半の水準まで一段と下がってくることも見逃せない。加えて、日足の「遅行線」が日々線の上抜けにトライしている点も重要で、今後この日々線を遅行線がクリアに上抜けると、チャート・フェイスから受ける印象も大きく異なったものになってくる。むろん、日足ロウソクの実体部分が日足「雲」上限の水準をもクリアに上抜けてきた場合には、ひとまず今月13日高値=109.80円処まで上値を伸ばす可能性があると見る。仮に同水準を上抜ければ、再び111.00円手前の水準が意識されやすくなるだろう。

 なお、最近はユーロ圏や英国、豪州などでも経済再開への歩みが着実に進んでいる。なにしろ、今ではフランスやイタリアでもワクチンを一回以上接種した人の割合が3割を超えるというのである。同様に、英国でも接種率は5割を超えてきており、当然のことながらポンドやユーロ、豪ドルなどに対して円は見劣りする存在とならざるを得ない。
 つまり、基本的に当面はクロス円が強含みでの推移となりやすい。むろん、ユーロ/ドルで見ればドルの方が優勢であり、ユーロ/ドルの上値は自ずと限られる。今しばらく、ドル買いとユーロ買いが拮抗する局面は続くと見られ、当面のユーロ/ドルは1.2050-1.2250ドル処のレンジ内の動きに留まるか。よって、当面はドル/円の下値を丹念に拾っていく算段で臨みたいと考える。
(05月24日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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