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第764回 米雇用情勢の改善は今後一段と顕著になる

2021年07月05日

 先週2日の米国株市場では、S&P500指数とナスダック総合指数がともに史上最高値を更新。S&P500指数に至っては7営業日連続で終値ベースの最高値を更新するという記録的な値上がりを見せた。つまり、この日に発表された6月の米雇用統計の結果は、米株価にとって「フレンドリーなもの」だった。それは同時に、ドルの上値を押さえる内容でもあったということを示している。
 もちろん、市場の事前予想と結果に対する受け止めが正しいものだったかどうかは「また別の問題」。どうやら、市場は6月の米雇用統計の結果について「非農業部門雇用者数の伸びは事前予想を上回るものとなったが、一方で失業率が予想よりも高く出たうえ労働参加率や平均時給の伸びが予想を下回ったため、全体としては無難あるいはやや弱めの印象」と受け止めたらしい。果たして、本当にそうなのだろうか。

 失業率が高めに出たのは「自発的に離職した人を含めて職探しを始める人が増えた」ためであり、むしろこれは強めの結果と解釈できる。自発的離職者の増加は目下の米労働市場が完全な「売り手市場」になっているが故であり、職探しを始める人が増えたのは、雇用保険給付の特別加算を前倒しで終了する州が少なくないことなどにも因る。
 労働参加率の伸びがイマイチなのは、資産価格の上昇によって「引退」を決めた年配者が少なくなかったこともあるが、やはり手厚すぎる失業保険給付や育児(休校)の問題などが何より大きいと見ていい。また、雇用者数が前月比で85万人も増加すれば、平均時給がある程度低下するのは当たり前のことでもある。
 雇用保険給付の特別加算を前倒しで終了する州が少なくないことに伴う求職者数の増加は、おそらく7月、8月の結果においてより顕著なものとなろう。むろん、9月になれば全ての州で特別加算措置が終了することもわかっている。加えて、9月の新学期からは対面授業を再開する学校も多いと見られ、そのぶん求職者数は増加する。
 さらに想像力を膨らませて考えなければならないのは、米企業の「求人」が過去最高レベルにあるなかで生じている「雇用のミスマッチ」は、今後ジワリと解消に向かうということである。そうなれば、もはや悠長に構えてばかりもいられない。焦りに焦って求職活動を始める向きが一気に増えると見ておくことも必要であろう。

 つまり、米株価の「ゴルディロックス」シナリオはそろそろ終盤を迎える。当然、数カ月内には少々まとまった調整を交える場面が一旦訪れ、そこからは企業業績の一段の拡大を背景とする新たな上昇シナリオがまた描かれると見ておくことが必要だろう。
 一方で、なおも基本的にドルが底堅い状態は続く。米株価の調整があれば、それに伴って一時的に円買い圧力が強まり、ドル/円が一旦は調整含みになる可能性もあるが、押し目が形成される場面は買いのチャンスと心得ておきたい。なにしろ、日本は折角加速しつつあったワクチン接種に政府が一転してブレーキを踏まざるを得ない状況。そこで慌ててワクチン在庫を増やすと、結果的に米製薬会社への「お支払い」は一層巨額なものとなる。よって、この期に及んで円を積極的に買い上がる気にはなりにくい。
 目先、ドル/円は一旦調整含みとなる可能性もあるが、下値は一目均衡表(日足)の基準線や21日移動平均線に支えられ、なおも4月下旬から形成されている上昇チャネル内での推移が続くものと思われる。当面の上値は、昨年2月高値=112.22円処や2019年4月高値=112.40円処とみておけばいいだろう。
 なお、前回更新分の本欄で述べたように、やはりユーロ/ドルは「戻り売り」が正解であった。実際、ユーロ/ドルは先週の初めから基本的に下げ続け、一時は1.1800ドル処を試す場面もあった。目先の戻りが1.1850-60ドル処に留まれば、あらためて一段の下値を探りに行く可能性もないではないと見られる。当座の下値は1.1750-60ドル処が一つの目安になると見る。
(07月05日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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