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第765回 米国債利回りの急低下はあくまで一過性のものに過ぎない

2021年07月12日

 前回更新分の本欄で、ドル/円について「なおも4月下旬から形成されている上昇チャネル内での推移が続くものと思われる」などと述べたが、実際には先週の週末にかけて筆者の想定は覆されることとなった。先週8日、ドル/円の日足ロウソクは長めの陰線を描き、あえなく一目均衡表(日足)の基準線や上昇チャネルの下辺を下抜けたのである。
 既知のとおり、その最大の要因は米10年債利回りが急低下したことにあった。8日には一時1.24%台まで低下する場面があり、大いに市場は動揺した。こうした米国債利回りの急低下について、市場の一部では「変異ウィルスのデルタ株が世界的に拡散していることで、市場は景気への影響を警戒し始めている」などといった講釈がなされていたが、そうした見立てを鵜呑みにすることには慎重でありたい。

 今回、想定していた以上に米国債利回りが大きく低下した(米国債価格が上昇した)のは、正味のところ、米国債先物や金利スワップで金利上昇(債券価格の低下)をヘッジしていた向きが一斉にポジションを解消したことが大きい。
 少し振り返ると、6月のFOMC後に一旦急低下した米10年債利回りが、6月21日に長い下ヒゲを伴う形で急反発する場面というのがあった。ここで、市場はFOMC後に踏み上げられた米国債価格の上昇(利回りの低下)は一巡し、再び大きく低下する(利回りは上昇する)と踏んだのであろう。ところが、その後の米10年債利回りは1.5%割れの水準で頭を押さえられ続けた。結果、米国債を売りヘッジしていた向きもシビレを切らしてポジションを一旦解消せざるを得なくなったということのようだ。
 つまり、先週8日までに見られた利回りの急低下はあくまで一過性のものに過ぎないと考えられ、その実、先週末9日の利回りは終始上昇した。

 デルタ株の影響をまったく危惧しないわけではないが、今後、世界的なワクチンの展開が急ブレーキを踏むというわけでもない。ワクチン普及率が一定程度に高まれば、重症化率や死亡率が大きく低下することもわかっている。言わば、徐々に“流行性感冒(風邪)の蔓延”と解されるようになって行くわけである。
 本日から、東京都は4度目の緊急事態宣言下に置かれることとなるが、これは「五輪開催」という特殊事情に伴う対応と捉えられる。先週9日には、日経平均株価の下げが一時700円に迫る場面もあったが、最終的には177円安に留まった。ちなみに、先週8日、9日は指数連動型ETFの分配金捻出のために8000億円超の換金売りが出るという特殊事情もあった。そして、同日のNYダウ平均は終値ベースで史上最高値を更新した。こうしたことにより、一時的にも強まった市場の動揺も一旦収まると見ていいだろう。
 そして、いよいよ今週から米大手銀を皮切りに米主要企業の4-6月期決算の発表が相次ぐ運びとなる。最新の予想では、S&P500企業のうち68%で増益が見込まれるとの調査結果もあり、全体に強い内容を期待する向きが多い。

 今週は、先週一時的にも盛り上がった市場のリスクオフムードが後退し、円買いの流れも一服するものと思われる。ドル/円は、ひとまず日足の基準線や21日道平均線が位置する水準(=110.50-60円処)までの戻りを試す可能性が高いと見られ、同時にクロス円も全般に一定の戻りを試す展開となろう。
 一方、ユーロ/ドルは先週8日、9日に見られた戻りも一巡し、再び1.1800ドル割れの水準を試す可能性が高いと見る。既知のとおり、先週8日にECBは金融政策などの戦略検証の結果を公表した。その内容は「ECBが早めに金融緩和の手じまいに動くのでは」という市場の憶測を排除するものであったと考えられ、ユーロにとっては基本的に弱めの材料と捉えられる。公表後は「事実で買う」といった動きも見られていたが、それも一時的なものであった可能性が高いと見る。
(07月12日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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