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第781回 ドル買い・ユーロ売りの流れは基本的に変わらず

2021年11月15日

 前回更新分の本欄で、ドル/円について「113円台前半の水準で押し目買いを入れるスタンスで臨みたい」と述べた。実際、先週のドル/円は9日の東京時間から10日の欧州時間入りまで一時的に113円割れの水準に沈む場面もあったが、その後は徐々に値を戻して10日のNY時間には114円台を回復する動きとなった。

 9日にドル/円が113円割れの水準にまで下落したのは、米10債利回りが一時1.41%台まで低下したことが一因であったが、それは少々不可解な動きでもあった。
 なにしろ、同日発表された10月の米生産者物価指数(PPI)は事前の予想に違わぬ強めの結果であったし、その日に行われた米10年債の入札は不調に終わったのである。まして、翌10日に発表予定であった10月の米消費者物価指数(CPI)についても、事前にかなり強めの結果を予想する向きが多かった。
 あえて、9日の米国債利回り低下とドル/円下落の要因を挙げるならば、それは一つに米連邦準備理事会(FRB)の次期議長について「ブレイナードFRB理事の方が有力との見方が浮上している」との報が伝わったことにあると言えよう。
 既知のとおり、今月4日にパウエルFRB議長とブレイナード理事はホワイトハウスを訪れて個々にバイデン米大統領と面談した。かねて、パウエル氏再任の可能性は議会で幅広い賛同を集めているうえ、イエレン財務長官も支持を表明してきた。一方で、進歩派の一部は議長交代を求めてバイデン氏に圧力をかけているとされる。
 そんななか、ここにきて俄かに「ブレイナード氏の可能性も」といった憶測が市場で盛り上がってきている。ブレイナード氏は、市場において「ハト派寄りで金融規制などの問題に対して進歩的」と見られており、仮に同氏が指名されるとするならば一旦は米国債が買われ、ドルは売られやすくなるとの見方が広まってもおかしくはない。

 ただ、そんなムードは10日に発表された10月の米CPIの結果を受けて一気に吹き飛んでしまった。それだけ強い結果であったことは既知のとおりであり、市場はあらためて高インフレ状態が長期化する可能性が高いと受け止めた模様である。
 むろん、ドル/円については「前日に113円割れでドテン売り(ショート)を仕掛けた向きが慌てて買い戻す動きを強めたことで、一層大きく値を戻すことになった」という事情もあろう。また、かねて本欄でも指摘してきた通り、10月の月足が一目均衡表の月足「雲」を上抜けて『三役好転』の強気パターンを完成させたこともやはり見逃せない。ちなみに、11月の月足「雲」上限は112.12円の水準に位置している。
 先週12日のドル/円は114円の手前で週の終わりを迎えたが、それは同日発表されたミシガン大学消費者信頼感指数が予想外に弱い結果となったことに因る。今回の数値悪化の原因は「インフレ進行によって生活水準が低下する懸念」にあるようだが、足元の供給制約を主因とするインフレ進行はいずれ落ち着くはずであるということも再認識しておきたい。そもそも、同指数はあくまで「速報値」であり、調査対象は僅か300人に留まるということも一応は心得ておく必要があろう。

 一方、先週のユーロ/ドルが前回更新分でも注目した一目均衡表の週足「雲」をクリアに下抜ける格好となったことも決して見逃せない。週末12日には一時1.1433ドルまで下押すこととなり、目先は1.1400ドル処が意識されやすいと見られる。仮に1.1400ドル処をも下抜けると、次は1.1300ドル割れあたりの水準が試されることになると見る。
今週16日には10月の米小売売上高が発表される予定であり、その結果が9月と同様に強めの結果であれば、市場でドル買い・ユーロ売りの流れが一層強まる可能性もないではない。結果、ドル/円があらためて115円台乗せにトライする可能性も十分にあると思われる。

(11月15日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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