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第810回 米FRBは今後タカ派姿勢を緩めはじめる!?

2022年06月27日

 既知のとおり、米連邦準備制度理事会(FRB)に課せられた重要な役割は、「雇用と物価の安定を図ること」である。つまり、FRBにとって「景気は二の次」ということにもなるわけで、最近は米景気の先行きを心配する声を市場で耳にすることが少なくない。
 実際、パウエルFRB議長は先週22日、米上院銀行委員会において「米経済のソフトランディングを目指しているが、その達成は非常に困難」との証言を繰り返したと伝わっており、当然のことながら、市場は足元で米国など主要国の景気後退懸念を強めている。

 先にフランスで行われた総選挙の結果もしかり、いまやどこの国の世論も「足元の物価上昇に伴う苦しみは現政権の無策によるもの」との見方になびいているため、各国中銀が積極的な引き締め策に打って出ることに異論を唱える向きは少ない。ことに、米政権は仏政権などよりも直接的な中銀との結びつきが強いため、なおさらFRBはしばらくの間、過度なまでにタカ派寄りの政策方針で行くこととなろう。
 結果、ここにきて市場は徐々に米景気がいずれ後退局面に突入する可能性に関心を移しはじめている。実際、先週23日に発表された6月の米総合購買担当者指数(PMI・速報値)は5カ月ぶりの低水準となった。また、週末24日に発表された6月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)も市場の事前予想と前月実績を下回る弱めの結果となった。
 こうしたデータと足元の市場のムードを受けて、先週23日には米10年債利回りが一時3.0%付近まで急低下する場面も垣間見られている。翌24日には再び3.13%台に上昇したものの、市場からは「今後FRBが極端なタカ派姿勢を緩める可能性が高い」との声も聞かれはじめ、結果的に24日の米株市場はIT・ハイテク株を中心に大幅続伸となった。

 米・日株価がともに一定の戻りを試す格好となったことで、市場ではリスクオフの歯車が逆回転しはじめており、同時に円買いムードも後退しやすくなっている。
 先週21日にドル/円は一時136.71円まで大きく上値を伸ばす場面もあったが、それは米国市場の休場(20日)明けとなった21日に「前週末に公表された日銀の政策方針をあらためて咀嚼し直すような動き」でもあった。その後、米国債利回りが急低下したこともあり、23日には一時134.25円付近までストップを巻き込んで下落する一幕もあったが、依然、日銀の緩和姿勢継続による各国との金融格差拡大観測がドル/円の下値を支える状況に変わりはない。ただ、市場に「FRBが今後動きを軟化させる」との見方が台頭してくるようになると、ドル/円の上値が徐々に押さえられ気味になる可能性もあるものと見られる。

 一方で、ユーロやポンドに対してドルが更に強含みとなる可能性も否定はできない。ことに、ポンドに関しては「市場が織り込んでいる英中銀の利上げは積極的過ぎる」との見方も出てきており、今後「英中銀による8月の利上げは0.25%ポイントに留まる」との見方が強まってくれば、徐々にポンドは弱含みはじめる可能性もある。
 先週、ポンド/ドルは1.2200-1.2300ドルの狭いレンジ内での値動きに終始したが、今週はこのレンジを上放れるか、あるいは下放れるかに注目しておきたい。上放れた場合は1.2400ドル、下放れた場合には1.2100ドル処を試す動きになると見る。
 ユーロ/ドルに関しては、なおも一目均衡表の日足「雲」下限の水準(=1.0560ドル処)で上値を押さえられる状況が続いている。今週は、この日足「雲」下限が1.0600ドル前後まで切り上がることから、基本的には1.0550ドルを軸とした1.0500-1.0600ドルのレンジ内での値動きになるものと見ておきたい。
 肝心のドル/円については、米・日株価が一段の戻りを試すと見られることから、リスクオフのムードが後退してやや円安になびきやすくなり、再び136円処を意識した動きになるものと思われる。

(06月27日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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