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第811回 米消費のセンチメント低下は、次の米利上げの「幅」に影響する!?

2022年07月04日

 先週は、米10年債利回りが30日に一時3%割れの水準に低下し、翌1日には一時2.79%まで低下するといった場面を目の当たりにした。日々発表される様々な米経済指標に弱めの結果が目立つようになっていることが大きい。
 既知のとおり、30日に発表された5月の米個人消費支出(PCE)のデータは、個人支出やPCEコアデフレータが事前予想を下回り、個人消費の鈍化傾向を示す結果となった。また、1日に発表された6月のISM製造業景況指数も事前予想を下回り、市場は米国がリセッション(景気後退)局面を迎える可能性に対する懸念を高めている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が連続して大幅利上げを実施しているのだから、個人消費の動向や製造業ならびに非製造業の景況感が鈍化するのは当然のこととも言える。言うなれば、当局の思惑通りに(政策目的に適う格好で)ことは進んでいるのである。
 そして、当然のように市場は先々の「オーバーキル」に対する懸念を高めている。FRBが景気後退を回避しながら、そのうえでインフレを抑制するのはやはり難しいのではないかと疑いの目を向け始めている。次に誰もが想定するのは「今後、FRBの引き締め姿勢は徐々に緩んでくるのではないか」ということであろう。
 そこで当然、市場の最大の関心は7月13日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)の伸びに向かうこととなる。思えば、5月分の結果は後に「CPIショック」と称されるようになるほどの大きなサプライズをもたらした。結果、FRBは6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げの幅を急遽、0.75%ポイントに引き上げる必要に迫られたのであった。忘れてならないのは、一つに5月の米CPIの結果において「変動の大きなエネルギーと食料品を除くコア指数」は6.0%の上昇と、その伸び率が4月の6.2%上昇という結果から鈍化していたことである。
 つまり、ウクライナ情勢に左右されやすいエネルギーと食料品を除いた米国の物価動向は既にピークアウトしている可能性があり、その背景には米消費のセンチメント低下が確実に関わっていると推察される。実際、先週28日に発表された6月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数は昨年2月以来の低水準であったし、前述したとおり5月のPCEコアデフレータも予想を下回った。

 こうした状況が今週末8日発表の米雇用統計にどのように表れ、その結果が次回FOMCでの追加利上げ幅に対する市場の思惑に変化をもたらすかどうかが当面の最大の焦点。
 思えば、ドル/円が先週29日に一時137円処まで上値を伸ばしたのは、複数のFOMCメンバーらの発言によって「7月の会合でも0.75%ポイントの利上げ実施が決定される」との見方が強まったからであり、仮に米雇用統計の結果次第で市場が7月の米利上げ幅に対する見立てを0.5%ポイントに“下方修正”するような流れになれば、一旦はドル/円の下値リスクが高まることとなるだろう。
 今週のドル/円については、まず135円処をクリアに下抜けるかどうかに注目し、下抜けた場合には6月23日安値=134.26円処が意識されやすくなると見る。ちなみに、同水準は6月7日安値から29日高値までの上昇に対する半値押しの水準にも近い。逆に、再びドル/円が強含みの展開となった場合は、あらためて136円台前半の水準を試す可能性もあると見る。とまれ、基本的には米景気後退への懸念が上値を押さえやすい。
 一方、先週のユーロ/ドルは6月末のロンドン・フィキシングに絡んだ買い戻しの動きが見られた後、週末1日には再び1.0400ドルを割り込む場面が見られた。
 同日発表された6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は予想以上の高い伸びとなったが、基本的には域内景気の先行き不安が根強い。なおも、1.0350ドル台では下値が支えられやすいと見られるが、一方で上値の余地は1.0500ドル台後半あたりまでに限られると思われ、なおも戻り売りが有効であると考える。

(07月04日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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