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第813回 インフレ早期緩和期待と世界景気の後退懸念を織り込む動きが続く…

2022年07月25日

 先週末にかけて米10年債利回りが大幅に低下したことにより、ドルの上値がやや重くなっている。その背後では、NY金先物価格が一時的にも1トロイオンス=1680ドル台まで下押す動きを見せており、先週22日付の日本経済新聞は「インフレが近々ピークアウトを迎えるとの見立てが背景にある」と伝えた。
 よく見れば、シカゴ市場における小麦やトウモロコシの先物価格なども急落と言っていいほどの下げ方をしている。それは、ウクライナ港からの穀物輸出再開を巡る協議がロシアとの間で合意にこぎ着けたということだけが理由ではない。その根底にはインフレの早期緩和期待と世界景気の先行き後退懸念があると見ていいだろう。

 振り返ると、先週21日に発表された7月のフィラデルフィア連銀景況指数は総合でマイナス12.3と予想の1.7や前回実績のマイナス3.3を大幅に下回り、2020年5月以来の水準まで悪化。また、22日に発表された7月の米サービス業PMI(購買担当者景気指数)も前回実績の52.7に対して47.0と、かなり大幅に低下した。判断の分かれ目となる50を大きく下回ったことによるマイナスのインパクトはやはり大きい。
 こうした状況下で、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げも9月以降はペースダウンするとの見方が着実に強まっている。米ブルームバーグがエコノミスト44人を対象に実施した最新調査によれば、政策金利の引き上げ幅は9月が0.5%ポイント、11月と12月は0.25%ポイントになると見る向きが多い。
 今週26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げ幅が0.75%ポイントとなることはすでに確実視されているわけであるが、その結果を受けて目先の材料出尽くし感が市場で強まるのかどうか、今週はその点をしっかりと見定めたい。
 もちろん、ドル/円については先週末にかけての大幅な下げで、すでにインフレの早期緩和期待と世界景気の先行き後退懸念をかなり織り込んだ可能性もある。ただ、22日のNY時間入り後には一時135円台半ばの水準まで下押す場面もあり、日足の終値で21日移動平均線を下抜ける動きとなった点も見逃せない。当面は135円処を下抜けるかどうかに注目し、下抜けた場合は6月23日安値=134.26円を試す可能性もあると見る

 一方、ユーロ/ドルについては先週21日の欧州中央銀行(ECB理事会)の結果とラガルド総裁の会見を受けて、やや方向感の見出しにくい展開を続けている。
 周知のとおり、ECBは今回0.5%ポイントの利上げを決定したが、後にラガルド総裁が「利上げが終了する金利水準は変わってない」と述べたことでユーロ買いの手が引っ込むという一幕もあった。また、ECBはユーロ圏国債市場の分断化を防ぐための新たな債券購入プログラム「トランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI)」を公表したが、市場ではその効果に懐疑的な見方が浮上している。
 他方、先週はイタリアのドラギ首相がマッタレッラ大統領に対して提出した辞表が受理され、今秋にも前倒しで総選挙が実施される運びとなった。言うまでもなく、伊政局不安はユーロの上値を押さえる要因の一つとなる。
 加えて、先週はロシア産ガスを欧州に供給するパイプライン「ノルドストリーム1」の定期メンテナンスが21日に終了し、とりあえず再稼働にこぎ着けた。欧州委員長のフォンデアライエン氏が「ロシアはガスを兵器として使っている」と批判しているように、ロシアは輸送能力の3割程度に留まるガス供給をあえて再開し、対ロシア制裁措置の緩和を導き出す“道具”としている。よって、今後も欧州のエネルギー危機に対する警戒は続く。
 足元のユーロ/ドルは1.0200ドル処を軸とした1.0150-1.0250ドル処のレンジ内での値動きとなっており、今週も基本的には同レンジが強く意識されるだろう。ただ、FOMCに相前後して一時的にもドルが弱含みとなる可能性もないではないと見ておきたい。

(07月25日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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