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第846回 「年内米利下げ開始」という市場の憶測は消えない

2023年04月10日

 前回、筆者はドル/円について133円処を軸とした132.20-133.80円のレンジ(1.60円の値幅)内での値動きを想定していた。実際、週明けの3日には想定したレンジの上限に近い133.76円処まで上値を伸ばす場面があり、その後に133円処を割り込む動きを見せたものの、4日に2月の米雇用動態調査(JOLTS)が発表されるまでは133.20円処までの調整(想定したレンジ内での値動き)に留まっていた。
 その後、一段の下げを誘発したのはJOLTSにおける米求人件数が993.1万件と、予想の1040.0万件を大きく下回ったことであった。さらに、翌5日に発表された3月の米ADP雇用統計やISM非製造業景気指数が予想よりもかなり弱めの結果であったことから、一時は130.60円処まで下押す場面も。つまり、想定していたレンジ下限(133.20円)からレンジ(1.60円の値幅)をちょうど一段切り下げることとなったのである。

 既知のとおり、週末にかけては再び値を戻す動きとなり、やや強めと受け止められた3月の米雇用統計の結果を受けて一段の戻りを試したが、その戻りは133.20円処まで、つまり切り下げる前のレンジ下限水準までに限られ、結果的に2月の米求人件数がもたらしたマイナスのインパクトを解消するまでには至らなかった。
 JOLTSは少し古いデータであるのだが、それだけに米国の雇用情勢は以前から徐々に変調を来していたとも言える。また、先週末発表の米雇用統計は、確かに5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを実施する道を開くものだったと言えるものの、それ以降の利上げまで想定させるほどのインパクトはなかった。
 より細かく見ると、3月の米雇用は娯楽・ホスピタリティーや医療などが大きく伸びる一方で、小売りと人材派遣分野の雇用者は減少していた。さらに、平均時給の伸びが鈍化し、何より週平均労働時間は20年4月以来の低水準に沈んだ。これは、米企業が人員を削減する前に勤務時間の短縮で現状に対応していることを示すものと言える。

 次回のFOMCは5月2-3日に行われるため、4月の雇用統計発表には間に合わない。しかし、物価や雇用コスト、景況感に関わるデータに関しては、これから相次いで発表される。今週だけでも、3月の米消費者物価指数(CPI)、米生産者物価指数(PPI)、米小売売上高、米ミシガン大学消費者信頼感指数などの発表が予定される。
 足元で、米国経済の勢いが目に見えて失われ始めていることは否定できない。米連邦準備制度理事会(FRB)は、かねて「景気を犠牲にしてでも…」との固い決意を示してきたのであるから、言わば“宣言通り”である。それにしても、FRBによるこれまでの利上げペースは少々急激過ぎたのではないだろうか。むろん、SVBが破綻したことも、その後に金融システム不安が一時的に拡がったことも、その一つの帰結と言わざるを得ない。 そのために今後、米銀に対する規制強化の動きが強まれば、米国が景気後退局面に突入する可能性も一段と強まる。年内の米利上げ停止と利下げ開始に対する市場の憶測は消えない。

 結局、先週のドル/円は一目均衡表の週足「雲」下限水準で下値を支えられる格好となったが、なおも同水準を下抜ける可能性は残る。仮に週足「雲」を下抜ければ、それは21年2月以来のこととなる。そうなれば、投資家の目線は少なくとも3月安値=129.54円処まで下がっておかしくない。
 仮に一つの節目となっている133.20円処を上抜ければ、多少は反発の動きも見られるだろうが、その後は62週移動平均線(現在は132.70円処)や週足の転換線(現在は133.80円)の位置する水準が上値抵抗として意識されやすいと見られる。
 一方で、なおもユーロ/ドルは1.10ドル処の節目が意識される。同水準は、21年1月高値から22年9月安値までの下げに対する50%戻しの節目でもあり、その節目を上抜くことができるかどかが当面の焦点になると見ておきたい。

(04月10日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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