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第857回 より現実味が増す!?米欧景気の先行き悪化懸念

2023年06月26日

 先週のドル/円は、一つの節目と見られていた142円台半ばの水準を週末にかけて上抜け、いきおい143円台後半の水準まで上値を伸ばした。142円台半ばというのは、昨年11月11日の高値が位置するとともに、昨年10月高値から今年1月安値までの下げに対する61.8%戻しの節目水準でもある。
 ドル/円が一段の上値を追うこととなったのは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による議会証言の内容や英中銀(BOE)による大幅利上げの実施決定などにより、これまでよりも強いタカ派寄りのシグナルが市場全体に発せられたことに因る。
 少し振り返ると、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で参加メンバーらが明らかにした金利予想は年内「あと2回」の利上げを示唆していたものの、市場はそれを額面どおりには受け止めず、せいぜい「あと1回」と見る向きが多かった。
 ところが、先週はパウエル議長をはじめ、FRBのボウマン理事やサンフランシスコ連銀のデイリー総裁らが、次々と疑心暗鬼な市場に警鐘を鳴らすような見解を示し、さすがに市場でも「あと2回」の利上げ観測が強まることとなった模様である。

 市場の受け止め方に生じた「変化」は、一つにNYダウ平均の5日続落という形になって現れた。足元では、景気後退への懸念が俄かに持ち上がってきており、ひとまずリスク資産から逃避しておこうとする動きが急になっているようだ。
 少々チグハグに思われるのは、景気後退懸念で米国債利回りが週末にかけて低下したのにも拘らず、ドル/円が一段の上値を試す動きとなったことである。投機筋を中心にあらためて単位の買いを入れていた模様だが、足元で見られているドル高・円安の“賞味期限”は、徐々に限られてきているように思われてならない。
 むろん、目下は日銀の金融緩和継続に対する「粘り強さ」が市場で際立っており、日・米および日・欧の金利差拡大を根拠とする円安傾向が足元で強まっていることは十分に理解できる。それにしても、もはやドル/円は143円台後半という水準。本邦政府・当局が重視するのは「水準」よりも「(変化の)スピード」ということだが、このところの円安進行は一定のスピード感も伴っている。市場には一定の介入警戒感も漂ってこよう。
 今しばらく、政府当局が何らアクションを起こさなければ、ドル/円が一つ節目である145円処や76.4%戻しの水準=146円処を試す可能性は封印できない。とはいえ、いずれは7月の日銀金融政策決定会合に対する思惑も様々に巡らされてくるに違いない。
 先週23日に発表された日本の5月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数こそ前年同月比3.2%上昇と4月から伸びが鈍化したものの、生鮮食品とエネルギーを除く「コアコア」は同4.3%上昇と前月から0.2%ポイントも拡大した。その上昇率は、なんと、41年11か月ぶりの高さである。なかでも、生鮮食品を除く食料の伸びが高く、その傾向は6月以降も続くと見られる。次回6月のCPIの発表は7月21日で、日銀会合の1週間前となる。そのスケジュール感だけは今から持っておく必要があろう。

 なお、先週のユーロ/ドルは一時的に1.10ドル台を回復する場面が垣間見られたが、ほどなく押し戻され、週末にかけては一時1.085ドル割れの水準まで下押す場面もあった。ロング勢がひとまず利益を確定したこともあろうが、23日に発表された6月のユーロ圏製造業・非製造業PMI(購買担当者景気指数)の弱い結果もユーロ売りを誘った。
 先週は、ポンド/ドルも週を通じて値を下げており、英国もユーロ圏と同様、景気の先行き悪化懸念が一層強まってきている。つまるところ、先週は米・欧・英において同時に景気の先行きに対する懸念がより現実味を帯びることとなったわけである。その分、今後は円売りに対するセーブもかかりやすい。先週末にかけて大きく調整した日本株の動向も気になるところで、株価の一段の調整は円の買い戻しにつながりやすいということも、あらためて心得ておきたい。 

(06/26 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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