先週6日に発表された11月の米雇用統計の結果について、市場は「12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想を覆すほどのものではなかった」と受け止めたようである。実際、その結果を受けて「CMEのFedWatch ツール」では12月の利下げ確率が一時90%超の水準まで急上昇した。
既知の通り、11月の米非農業部門雇用者数(NFP)の伸びは、ほぼ市場の予想通りとなったが、その一方で失業率は前回の4.1%から4.2%に上昇。労働参加率が低下する中での上昇という点が一つのポイントである。
「前月分の結果が不調だったのはハリケーンやストライキの影響」という前提に立ってみると、やや物足りない結果だったという印象も残る。結果、米雇用統計の結果を受けたドル/円は、ストップを巻き込む格好で一時的にも149.50円割れの水準まで大きく下落する場面があった。
とはいえ、ほどなくドル/円は切り返す動きを見せ、最終的には再び150円台を回復している。一つには、米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事が「インフレのリスクは依然として顕著」などと述べたことが影響した模様で、その実、11月の平均時給の伸びは前月比、前年比ともに事前予想を上回っていた。
総じて、市場では12月のFOMCでの0.25%ポイントの利下げ期待が強化されつつあるものの、来年の早い段階で利下げが一旦停止されるとの見方も強まっているようであり、ひとまずは今週11日に発表される11月の米消費者物価指数(CPI)の結果をしっかり見定めたいというムードが色濃い。
前回更新分の本欄では、ドル/円について「ひとまず、一目均衡表の週足『雲』下限の水準が下値サポートとして機能するかどうかを見定めたい」と述べたが、結果的に先週の週足ロウソクは同水準(=148.73円処)が下値サポートとしてしっかり機能する形となった。また、日足ロウソクの方は今のところ日足「雲」上限(先週末は149.97円処)が目先の下値サポートとして意識されているものと見られる。
引き続き、今週も日足と週足の其々のチャートポイントにおいてドル/円の下値が支えられるかどうかをしっかり確認することがまずは重要。仮に下抜けた場合には、9月16日安値から11月15日高値までの上昇に対する半値(50%)押しの水準=148.17円処を試す可能性もあると認識しておきたい。
なにしろ、足元は米・日の金融政策の行方から韓国やフランスの政局、先行き不透明な中東情勢など、実に様々な要素が複雑に絡み合っており、相場の行方を予測することに一層慎重になることが求められている。それだけに、こうした局面では普段以上に「テクニカルがモノを言う」ということも再認識しておきたい。
なお、韓国の政局の行方に関しては、市場の一部から「なおも先行き不透明感が強い状況下にあって、日銀は12月の利上げを見送るのでは」との声も聞かれる。ちなみに、日本の10年物国債の利回りは、先週3日に一時1.09%台を回復する場面があったものの、週末6日には1.04%台まで低下した。現実問題として、日銀の次の利上げを織り込む動きは遅々として進んでいない。
かくなるうえは、当面の注目ポイントから着実に押さえていくよりないわけで、まずは今週12日に行われる欧州中央銀行(ECB)の定例理事会において、目下の市場で確実視されている0.25%ポイントの追加利下げをしっかりと見届けたい。
足元のユーロ/ドルは、一時的にも1.06ドル台を回復するやや強めの動きを見せており、予想通りに利下げが行われた場合は、材料出尽くしから一旦は上値余地を試す可能性もあると見られる。そうなった場合は、1.05ドル割れを下値メドとして戻り売りのタイミングをはかりたいと個人的には考える。
(12/09 07:00)
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