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第444回 またしても“不安より期待が大きい” ‐米雇用統計

2015年12月04日

 まさに“衝撃的”な動きでした。注目のECB理事会は「量的緩和の実施期間を半年間延長(2017年3月まで)」「買入対象に地方債を追加」としたものの、「預金金利は-0.2%⇒-0.3%」と事前予想の下限に留め、「量的緩和規模の増額」を見送りました。これを“失望”と捉えたマーケットは、ユーロ売りポジションのショートカバーが加速しました。ファーストアクションこそ1.05ドル前半へのユーロ売りでしたが、その後はほぼ一直線に1.0980ドル水準へと駆け上っています。


 ある程度の買い戻しは入るとは思っていたものの、「正直、あそこまで入るとは…」というのが実感です。テクニカル的には“下抜け失敗”の格好ですので、しばらくは失望が続き、下値が比較的支えられる展開が想定されるところです。


 一方で“衝撃的”な動きだっただけに、ユーロ売りポジションの大部分はすでに巻き戻されてしまった可能性が残ります。そうするとここからのさらなる買い戻しには疑問が残ることになり、失望を誘った昨日も「FOMCを控えた出し惜しみ(追加緩和の余地をまだ残している)」との思惑につながる可能性を残します。



 テクニカル的に見ても、昨日は50日移動平均線(①)に止められた格好になります。すぐ上には心理的な節目(1.10ドルの大台ライン ②)、200日移動平均線(本日は1.10341ドル ③)、100日移動平均線(同1.10603ドル ④)が控えており、そう簡単に突破するとも思えません。目先は下げ渋る展開を想定せざるを得ませんが、次第にユーロの上値は重くなると考えます。


 そしてこうした状況下、本日は米雇用統計が予定されています。ユーロ買い戻しの中でドルには相対的に売り圧力がかかっていますが、12月利上げ観測が根強い中での発表でもあり、思惑は割れています。事前予想は「非農業部門雇用者数(NFP):+20.0万人」「失業率:5.0%」「時間当たり平均賃金:+0.2%」となっていますので、まずはこの水準からの上振れ/下振れが注目されるところです。


 ただイエレンFRB議長等は昨日、「雇用者数増は+10万人程度で十分」との認識を示しています。期待値ハードルがかなり押し下げられた可能性が高く、少しくらいの下振れでは“12月利上げ観測が大きく後退する可能性は低い”と考えられます。逆に好内容ならば“さらに12月利上げを囃す展開”が意識されやすく、“ドル押し目買い”への期待は募ります。



 気にしておきたいのは、大きく揺れ動く可能性を秘めた“日足・一目均衡表先行スパンの雲のネジレ ⑤”と共に、“三尊天井を形成しつつある可能性 ⑥”がテクニカルからは指摘されることです。後者のネックラインは11/16安値(122.196円 ⑦)ですので、これを割り込むと“三尊天井完成”と捉えられ、100日移動平均線(同121.730円 ⑧)や200日移動平均線(同121.529円 ⑨)、50日移動平均線(121.382円 ⑩)を目指してもおかしくなく、懸念は残ります。


 それでも最も懸念すべき“買われ過ぎ(私流の言葉はにわか上値期待)”は、昨日の下落で後退しています。大きく荒れたマーケットの傷を癒す間もなく発表される今回の米雇用統計は、乱高下する懸念も抱えていますが、“不安よりも期待が大きい”と考えて臨みたいところです。

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プロフィール

  • 著者近影 武市佳史(たけちよしふみ)
    大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。

コラム一覧

鈴木郁雄の実践トレーディング 外国為替古今東西 行天豊雄 外貨投資 転ばぬ先の智慧 田嶋智太郎
市場養生訓 小口幸伸
為替大観 小池正一郎
為替の話・トレンドを掴め! 木村佳子
武市のなぜなにFX 武市佳史

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