クリスマスウィークに入って、ドル売りが目立っています。少し前には「原油売り→リスク回避」と捉えられていたものの、現在は「原油買い戻し→資源国通貨買い戻し→ドル売り」と捉えられており、ドル円は120円の大台割れを窺う事態に陥っています。
日足・一目均衡表先行スパンの雲下限(本日は120.896円)を“終値ベース”で割り込んでいますので、テクニカル的にも“売りシグナル点灯”という格好になり、決して芳しい状況とはいえません。
しかしながら現在は、1年を通して“最も流動性が乏しい時期”に当たります。この時期の“シグナル点灯”は「信憑性に欠ける」ケースも多く、その中で急激に進行する“ドル弱気論”には違和感もあります。週足に目を転じると、一目均衡表の雲は分厚く横たわっていますので、日足ほど“下値への警戒感”を囃す状況でもありません。鵜呑みにすることはできそうにありません。
2016年末のFF金利見通し(ドットチャート)は、FOMCメンバーが「年4回」に対して、マーケットは依然として「2~3回程度」しか織り込んでいませんが、米景気回復基調はマーケットが想定するほど弱いとも思えません。一方で景気回復への期待感が過度に台頭していない分だけ、下振れへのリスクは小さいとも考えられます。
クリスマスを終えても、年末・年始相場が控えています。このため平常時まで流動性が回復するのは、まだ先と考えられます。つまり来週以降もしばらくは「値が飛びやすい」状況は変わらないと見られますので、下値への警戒を解くことはできません。しかし早い段階で仕掛け的な動きが奏功しなければ(120円の大台を大きく割り込まなければ)、今度は「ポジション調整の巻き戻し(ドル買い)」が台頭する可能性が…?
比較的早いタイミングで行き過ぎたドル売りを調整する動きに…。頭の片隅に残しておきたいシナリオです。
※2015年の本コラムは本日が最終更新となります。新年は米雇用統計が行われる1月8日(金)の更新予定です。大晦日まで取引がありますので少し早いですが、「皆様、良いお年をお迎えください」。