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第451回 「投資家心理はまだ不安定」だが、“懸念の度合い”は着実に後退…!?

2016年02月19日

 一時よりは後退したとはいえ、リスク回避姿勢に傾斜しやすい地合いは依然として残っています。16日には115円手前まで一時反発したものの、昨日には原油反落を背景にドル円は113円前半まで売り込まれ、そして本日に入って112.70円水準まで下値を拡げました。「投資家心理はまだ不安定」を如実に表す動きであり、今後もちょっとした要因でリスク回避に傾斜しやすい展開が想定されるところです。 


 では「またしてもリスク回避がマーケットを席巻…?」と問われれば、筆者は「No」と考えています。リスク回避に傾斜する元(中国人民元切り下げ懸念、原油下落、米利上げ観測の後退、短期筋の仕掛け等)の“懸念の度合い”が、後退しているように感じられるからです。


 まず“中国人民元切り下げ懸念”に関しては、「何をするのかわからない」という不透明感が懸念を増長しています。中国経済の鈍化を考えれば“いたし方ない”ところでしょうが、ただここに来て中国当局の対応は“本腰を入れつつある”ように見えます。また「国際通貨への第一歩(IMFのSDR構成通貨に組み入れ)」を踏み出した状況では、最も懸念される「“一気の”そして“大幅な”人民元切り下げ」といった手法は取れないと考えるのが自然です(為替操作と認定される可能性が高いですので…)。


 “原油下落”に関しては、需要減退もありますが、供給過剰によるところが大きいのが事実です。今回はイラン合意というサプライズで上昇しましたが、内容が小粒(減産ではなく1月水準で据え置き)なだけに、利益確定売りが早々に入るのはいたし方ないところです。しかし「原油安を食い止めよう」と動き出したことは疑いようがない事実ですので、すぐに効くかどうかは別にすると、懸念そのものは「後退こそすれ、加速することはない」と考えられます。


 “米利上げ観測の後退”に関しては引き続き残りますが、3月利上げの可能性がほぼ剥落している状況でさらに材料化するのは困難と考えます。また最も懸念されるNYダウが“ダブルボトムを形成(後ちょっとで完成)”しつつあることも、悲観論の増大を抑えると考えます。


 …となると怖いのは、リスク回避を囃した“短期筋の仕掛け”ということになりますが、こちらも11日にかけて行われたような動きには発展しない可能性が高いように思います。前記した要因を巡る“不透明感の質”が改善しつつある中で、当時とは流動性が違います(中国は春節で休場、110円台に突っ込んだ11日は日本も休場でした)。オプションから算定するVIX指数が依然として高水準を保っています(つまりボラティリティはある)ので「仕掛けてこない」とはいえませんが、「かなりの労力を伴う」と考えるのが自然です。つまり「投資家心理がまだ不安定」であることから“上値の重さは相変わらず”ではあるものの、先日のような“リスク回避姿勢がマーケットを席巻”といった展開は想定しづらいということになります。


 “100週移動平均線(115.07円)”“一目均衡表先行スパン下限(114.97円)”が並び、“1/29~2/11の38.2%戻し(115.037円)”にも該当する115円ラインを回復していない以上、先日の110円後半で底を打ったとはいえないのが実状です。しかし同ラインを巡る攻防戦は、手前まで上昇したものの、「まだ本格的には行われていない」と考えるのが自然です。そして“不透明感の質”が低下する中でリスク回避が囃される中、VIX指数の高止まりで“ボラティリティが高い”状況は続いています。「思惑にて揺れ動きやすいが、一方向には動きづらい」。つまり「仕掛け的な動きが入っても、すぐに巻き戻される(もちろん売りも、買いも)」という“揺れ動き(乱高下)”が想定されるところです。


 “日米欧金融政策の次の一手”を織り込みにかかる?か、あるいは“年度末絡みのフロー”が持ち込まれる?までは、「2/11安値(110.933円)と2/16高値(114.875円)のレンジ内での揺れ動き」と考えたいところです。ブレイクするには、もう少し時間がかかりそう…。

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プロフィール

  • 著者近影 武市佳史(たけちよしふみ)
    大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。

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