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第472回 あくまで結果次第、ただ“ネガティブサプライズ”でさえなければOK…!? - 米雇用統計

2016年09月02日

 ワイオミング州・ジャクソンホールにおけるイエレンFRB議長の講演は、にわかに米利上げ観測を再燃させました(実際はその後に跳び出したフィッシャー副議長のインタビュー発言)。

 「この数ヵ月で利上げの論拠が強まった(イエレン議長)」、「同議長の講演は“9月を含む年内2度の利上げ”を示唆する内容(フィッシャー副議長)」は、ドル売りを積み上げている向きにとっては“寝耳に水”でした。実際に9月利上げが行われるかは別にして、マーケットはドル売りの巻き戻しに動きました。100円割れを窺っていたドル円は一気に反発し、昨日(1日)には一気に104円ライントライまで演じています。その後はISM製造業景況指数(PMI)の想定外の急低下(52.6⇒49.4)を背景に103円前半へと押し戻されましたが、103円割れは回避されたまま、米雇用統計当日を迎えています。

 今回の米雇用統計が注目されている理由は、「米8月雇用統計がFOMCの決定に影響する」とフィッシャー副議長が発言しているからです。見方は大きく割れていますが、昨日のISM製造業PMIで“過熱感は解消”していると見られますので、少なくとも「結果はいいが、期待に届かなかったので売りが先行」といった展開は期待薄。比較的“素直な反応”を見せる可能性が高そうに思います。

 その今回の米雇用統計、少し気になるデータがあります。今回は8月分の公表になりますが、実は「8月分は事前予想を下回ることが多い」とされていることです。事実、直近5年間の結果を見ると、“その全て”が事前予想を下回る結果となっています。「新学期が始まる9月を前にした教職員の異動が影響」といわれていますが、下回っているのは事実です。乖離幅はその時によって違いますが(最少は1.1万人、最大は8.7万人、5年平均は約4.8万人)ですので、仮にこの傾向が今回も続くと考えれば“+13万人台”となる可能性があるということになります。当然そうなれば、9月利上げへの期待感は後退していくでしょう。過度な上値期待感は禁物といえるかもしれません。

 ただこの見方に対して、個人的には“少し違和感”があります。今回の利上げ観測再燃のスタートは冒頭で記したイエレン発言(「この数ヵ月で利上げの論拠が強まった」)の後には、「米金融当局の判断には、当局の見通しを“データが裏付け続ける”こと」と続きます。つまり「経済指標やデータはFOMC見通しには既に一致しており、今後はその継続性の確認作業」と見ることが可能ということになります。つまり9月利上げの正当性を主張するために「もはや大きな雇用の伸びは必要ない」「単に堅調基調であればOK」と解釈することも可能ということになります。

 もちろん私見ですので“決め打ちは厳禁”であり、“リスク管理はタイトに設定”する必要があります。しかし「良ければ上」「悪ければ再び下」といった“素直な反応”がファーストアクションで見込まれる中、仮に悪かったとしても“9月利上げを完全消滅させるほどのネガティブサプライズ(+10万人以下等)”にでもならなければ、『利上げ観測はFOMCまで続く⇒無事に米雇用統計を乗り越えてドルは買い戻し継続』というシナリオは、あながち眉唾ではないと思っていますが、果たして…?

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プロフィール

  • 著者近影 武市佳史(たけちよしふみ)
    大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。

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鈴木郁雄の実践トレーディング 外国為替古今東西 行天豊雄 外貨投資 転ばぬ先の智慧 田嶋智太郎
市場養生訓 小口幸伸
為替大観 小池正一郎
為替の話・トレンドを掴め! 木村佳子
武市のなぜなにFX 武市佳史

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