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第475回 悪材料満載の中で下げ渋るドル円 - 盲目的な戻り売りには要注意…!?

2016年09月30日

 またしても「リスク回避/選好(巻き戻し)」に、マーケットは揺さぶられています。中国絡みのネガティブ要因が影を潜める中、欧州から“ドイツ銀行の経営不安”が飛び出してきたからです。

 米司法省が課した「1.4兆円相当の罰金」は、“その他金融機関にも伝播”との思惑を誘っており、これが“ドイツ初の金融危機”あるいは“第2のリーマンショックに発展”との思惑まで誘っている感があります。セオリー通りの“株安⇒円買い”がもたらされており、マーケットに暗い影を落としています。“その他の懸念材料”も「他を変え、品を変え」しながら囃されており、悪材料満載といえます。

 その割にマーケットは、大きくは崩れていない印象があります。戻り売り圧力は根強いものの、100円の大台を割るには至っておらず、「上を下へと揺れ動いている」というのが実感です。これはやはり日米金融政策に影響しているところが大きいと見られます。

 ご承知のように、10月の日米金融政策は「日銀:補完措置(長短金利操作付き量的質的金融緩和)」「FOMC:据え置き」で終えました。FOMCは、ブレイナードFRB理事の“ハト派寄り”発言を機に期待感が下がっていましたのである意味で当然ですが、サプライズだったのは日銀です。

 “新たな枠組み”は追加緩和とはいいがたいところがあり、円売りを加速させるには至っておりません。“実質的にテーパリング(金融引き締め)”との思惑も根強く、上値の重い動きを強いられています。

 ただその割に、大きくは崩れていないもの事実です。いつもの日銀会合時に見られる“急激な円買い”も今回は発生しておらず、前記したリスク回避姿勢が重なっても大きく崩れてはおりません。あくまでもまだ賛否は割れている中での“実質的なテーパリング観測”は、やはり往き過ぎ(思惑が下方向に傾斜しすぎ)と考えざるを得ないところです。

 そう考えるとリスク回避要因には困らないものの、決めつけは厳禁といえます。「12月利上げ観測」は残存し、履行の有無は別にして「原油減産」も合意されました。「ドイツ銀行懸念」にしても今に始まったものではなく、ある程度はすでに織り込まれていると考えるのが自然です。金額も巨額ですが、その額が確定している分だけリーマンショック時とは大きく異なります(当時は損失がどこまで膨らむかわからないという疑念が原動力だったと認識しています)。

 どうしても下方向に持っていきたい(戻り売りを囃す)向きも存在しますので、“上値の重さ”は相変わらずかもしれません。しかしリスク回避が少しでも緩む場面での急反発(巻き戻し)は、27日の動きを見てもわかります。悪材料満載の状況ではありますが、その割に下げ渋っているドル円。盲目的な“ドル戻り売り”には、気を付けておきたいところです。

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プロフィール

  • 著者近影 武市佳史(たけちよしふみ)
    大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。

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