昨日のECB理事会は、少々驚きました。「据え置き」は予想通りも、「(現行金利を)19年夏まで⇒少なくとも2019年末まで」へとフォワード・ガイダンスを変更し、「9月より、貸出条件付き長期資金供給オペ第3弾(TLTRO-3)を実施」と早々に公表したからです。「量的緩和策を終了」「19年中に利上げ」へ舵を切ったのは“昨年12月”ですので、“わずか3か月”で再修正を強いられた格好ということになります。
金融政策というものは、そう簡単に変更する類のものではありません。このため本来であれば“欧州株高”につながるべき「量的緩和策」が、昨日は“欧州株安”へと振れた印象が否めません。つまり「(わずか3か月で再修正せざるを得ないほど)欧景気減速は深刻」と見られたということになり、長らく下値を支えた1.12ドル半ばを明確に割り込む“ユーロ売り⇒ドル買い”が進行したにもかかわらず、“株安⇒リスク回避⇒円買い”が同時進行したことで、ドル円は逆に“下値を探る”へとつながっています。
こうした中、今回の米雇用統計(2月)は行われます。前哨戦は“決め手に欠く(ISM指数はまちまち/ADP雇用統計はそこそこ)”、そして“米国も金融政策を変更(利上げ休止)したばかり”といった状況ですので、はっきりいって昨日までは「盛り上がりに欠く」「揺らぐ可能性は思惑が傾斜していない分だけ」という程度しか注目されていなかったのが実状です。しかし昨日のECBを経て、にわかに注目度が増した感が否めません。なぜならマーケットが再び“金融政策”へと、目を向けた可能性が指摘されるからです。
金融政策で先頭を走っているのは、米国(ドル)であるのは疑いようがありません。このため金利差から見ると、“ドル売り”となるのは「利下げ観測が高まった場合のみ」。「それ以外(現状維持も…)」は“ドル買い戻し先行”と考えることは、十分可能ということになるからです。
「結果次第」という状況は変わっておらず、「注目度が低い(しょぼい)」といわれて久しい米雇用統計ではありますが、「にわかに注目度アップ」と見て発表の時を迎えたいところです。
※当コラムは毎週金曜日の更新です(金曜日が祝日の場合は休載となります)。
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プロフィール
武市佳史(たけちよしふみ)
大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。
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