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第560回 「ダウンサイドリスク」にばかり目が行きがちだが…? - 実際は「アップサイドリスク」を警戒する局面…!?

2019年05月10日

 大型連休中に懸念された「フラッシュ・クラッシュ」は杞憂に終わりましたが、最後の最後に、対中関税引き上げを謳う「トランプ米大統領発言(ツイッター)」が跳び出しました。これを機にマーケットは「リスク回避姿勢」へと傾き、8日には“110円の大台ライン”、そして9日には“3/25安値(109.706円)”を割り込んで“109.473円”へと下値を拡大しています。そして10日には到頭、そのまま『中国製品2000億ドル相当の関税率を25%に引き上げ』が発動しています。

 今回のリスク回避姿勢の背景にあるのは、前記関税引き上げから派生した「米中貿易戦争激化への懸念」といえます。それが実際に発動した訳ですので、「イメージはさらに下方向に傾斜」となるのは、無理からぬところかもしれません。しかし下値メドとされた“3/25安値”をすでに割り込んでいますので、一旦「下値達成感が台頭」しても何ら不思議ではないところです。思惑主導ですでに“2円ほど”の下落を見せたことを考えると、「ある程度織り込んだ」と見るのも無理筋という訳ではありません。

 さらにキッカケとなった前記「トランプ米大統領発言」にしても、“対中強気発言”の後には、すぐに“フォロー”が入ることが少なくありません。これは「トランプ大統領は株価動向を気にしている」と見るのが自然であり、「強気一辺倒(リスク回避一辺倒)といった展開は想定しづらい」ということにもなります。

 一目均衡表を見ると、日足では「三役逆転」が点灯、週足でも「先行スパンの雲割れ」が一時見られるなど、テクニカル的には決して芳しいとはいえません。これに前記「イメージは下方向」を考えれば、来週も“上値が重い”が燻り続ける可能性は残るといえます。しかし株安を背景にした“リスク回避一辺倒”は期待薄であり、足元の米景気動向は“概ね底堅さを維持”しています。低下傾向を見せる米10年債利回りにしても、利下げの確証がない現段階では“余地は限られる”と見るのが自然。さらに当該水準まで下落すれば、“国内実需筋のドル買い”を期待することも可能です。つまり「下値を試すリスク」こそ残っているものの、決して「深追いできる状況ではない」…?

 「ダウンサイドリスク」にばかりに目が行きがちですが、実際は「アップサイドリスク」により警戒を払う局面と考えて、神経質なマーケットに臨みたいところです。


※当コラムは毎週金曜日の更新です(金曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 武市佳史(たけちよしふみ)
    大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。


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