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第563回 米逆イールドは囃され過ぎ…? - 鵜呑みにできない要因

2019年05月31日

 「週末の踏み絵」をこなせなかった先週ですが、その割に今週のドル円は“底堅さ”が目立ちました。何度となく“下値試し”は行われたものの、ことごとく跳ね返され、そして30日には“109.924円”まで反発する動きを見せたからです。これで4度目となる「週末の踏み絵」が意識されるかと思いきや、反発したのはここまででした。

「米大豆の輸入停止」を示唆した中国商務省コメント、「必要ならば対中関税は倍以上課す可能性」を示すペンス副大統領発言、「インフレ低迷長期化なら金融政策変更(利下げ)を検討」とのクラリダFRB副議長発言が跳び出し、急速に上値を削りました。極めつけは「メキシコ製品の関税を6月10日より5%、10月1日からの25%に向けて段階的に引き上げ」とのトランプ米大統領発言(ツイート)であり、マーケットは再び“リスク回避姿勢(円買い)”に包まれており、本稿執筆時には“108円台”へと突き落とされています。

確かに『米中懸念の蒸し返し』は大きなネガティブ要因といえますが、G20(6/28-29)では「米中首脳会談」が行われるとされています。懸念は根強いものがありますが、現在の動きは“やや往き過ぎ”といえなくもありません。

『米金利先安観の再燃』に関しても、同様のことがいえます。「米金利低下」、特に現在騒がれている「3ヶ月-10年債利回りの逆イールド」に関しては、やはり“往き過ぎ”と感じざるを得ないところがあるからです。逆イールドとは本来、「2年-10年」を比較するものです。不安定な状況下において短気過ぎる「3ヶ月」は、人気がなくて“当たり前”…。「2年-10年」ではまだ逆転していないことを考えると、「逆イールド⇒およそ1年後には米景気後退」と囃すのは“いささか早計”といわざるを得ないからです。

今年3月にはその「2年-10年の逆イールド」が騒がれたことがありますが、こちらに関しても“いささか早計”といわざるを得ないところがあります。なぜなら日本(日銀)同様、米国(FRB)は「国債を大量購入」しているという事実があるからです。購入した分だけ“金利が低下(債券価格は上昇)”するのは当然であり、これが“長期金利(10年債利回り)は押し下げている”と考えることが可能だからです。「逆イールド⇒およそ1年後には米景気後退」は過去の傾向を捉えたものですが、「当時とは状況が異なる」「当該購入がなければ“まだ差はある(逆転しない)”」と考えるのは、何も荒唐無稽なことではないからです。

もちろん『米金利先安観の再燃』が重なっていますので、“楽観は禁物”です。『テクニカルが悪化』も重なっているとあっては、なおさらです。“安易な押し目買い”は手控えざるを得ず、“戻り売りが意識されやすい”という展開も想定しておく必要はあるでしょう。それでも『米金利先安観』に関しては「FOMC(金利見通し::6月18-19日)」を確認する必要があり、それを占う「米雇用統計」も来週末(7日)には控えています。このタイミングで「下値追い一辺倒」というのも…?

不本意ながら「一旦様子見」とせざるを得ませんが、「好悪入り混じる」が基本との考えは、頭の片隅に残しておく必要がありそうです。


※当コラムは毎週金曜日の更新です(金曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 武市佳史(たけちよしふみ)
    大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。


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