「米大幅利下げ観測」を巡り、振り回される展開が続いています。
ほどほどに良かった米雇用統計にて巻き戻された「米大幅利下げ観測」でしたが、パウエル議会証言で蒸し返されました。2018年1月来の好内容(+0.3%)を記録した米CPI・コア(食品・エネルギー除く)で緩和しても、弱い米住宅関連の経済指標(着工件数:-0.9%/許可件数:-6.1%)で押し戻されました。そして『金利とインフレが低水準にある場合、経済的な問題が表面化するのを待つ余裕はない』との「ウィリアムズNY連銀総裁発言」がダメを押した格好であり、“107円半ば(3日)⇒109円手前(10日)⇒107円後半(15日)⇒108円半ば(16日)”と揺れ動いたドル円は、“107円前半(18日)”と突き落とされていきました。
ところがこれで終わりではなく、現在はやや巻き戻しが先行しています。『ウィリアムズ総裁発言は調査に基づいた学術的内容であり、次回FOMCに関するものではない』と“異例の声明”をNY連銀が出したことで、再燃した「米大幅利下げ観測」がまたしても緩み始めているからです。
こうして右往左往しているドル円ですが、いよいよ明日(20日)から米国では「ブラックアウト期間(金融政策に関する発言を禁止)」が始まります。“サプライズ発言”が跳び出す可能性は極めて低いと見られ、それでいて来週は“主だった経済指標が不在”というスケジュール感です。“材料不足⇒動意薄”も懸念されますが、少なくともいえることは“「米大幅利下げ観測」をさらに囃す材料が乏しい”ということになります。それでいて現在の状況が仮に“往き過ぎ(本稿執筆時における7月50bp利下げの織り込み度は50.4%)”だとすれば、“もう一段の巻き戻し”があってもおかしくない…?
波乱要因として「ECB追加緩和(利下げの可能性)」や「トランプ米大統領発言(ドル安強要?)」が上げられるものの、来週は“基本は動きづらい”を想定し、場合によっては“もう一段の巻き戻し”も考えるものの、少なくとも“さらなるドル売りは促されない(促しづらい)”と見て、神経質なマーケットと向き合いたいところです。
※当コラムは毎週金曜日の更新です(金曜日が祝日の場合は休載となります)。
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プロフィール
武市佳史(たけちよしふみ)
大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。
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